“吹靡”の読み方と例文
読み方割合
ふきなび100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
青苔あおごけむ風は、坂に草を吹靡ふきなびくより、おのずからしずかではあるが、階段に、緑に、堂のあたりに散った常盤木ときわぎの落葉の乱れたのが、いま、そよとも動かない。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
廻って東門をうかがったが、同様である。内には、六文銭の旗三四りゅう、朝風に吹靡ふきなびいて整々としていた。
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
今は「風吹くな、なあ吹くな」と優き声のなだむる者無きより、いかりをも増したるやうに飾竹かざりだけ吹靡ふきなびけつつ、からびたる葉をはしたなげに鳴して、えては走行はしりゆき、狂ひては引返し
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)