下婢げぢよ)” の例文
幾ら人數にんずが少ないとツて、書生もゐる下婢げぢよもゐる、それで滅多めつたと笑聲さへ聞えぬといふのだから、まるで冬のぱらのやうな光景だ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
今しもその、五六軒彼方かなたの加藤医院へ、晩餐ゆふめし準備したくの豆腐でも買つて来たらしい白い前掛の下婢げぢよ急足いそぎあしに入つて行つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
家に養ひ置わづかに兄弟二人の家内にして祿高ろくだか五百石を領し外に若黨わかたう二人下婢げぢよ一人中間小者共主從九人のくらしなり扨此喜内は學問を好み軍學武藝にも達し物がた生質せいしつなれば諸方より妻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
われは身に一枚の藺席ござを纏ひ、しほたれたる白地の浴衣ゆかたを着、脚には脚絆きやはん穿うがたず、かしらには帽子をも戴かず、背には下婢げぢよの宿下りとも言ひつべき丸き一箇ひとつの風呂敷包を十文字に背負ひて
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
「大きに御尤ごもつともだ。だが下婢げぢよ下婢げぢよさいさいさ。下婢げぢよで用が足りる位なら、世間の男は誰だツてうるさいさいなんか持ちはしない。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
始として加茂北野金閣寺其外遊所いうしよはもとより人立しげき方へ行ては尋ぬれども此處にも更に手掛りなく彼是と半年ばかりも暮しけるうち或日あめつよふりて流石の忠八も此日は外へも出ず宿屋に一人徒然つれ/″\に居たりしに此家の亭主出來いできたり偖も折惡敷をりあしき雨天にてお客樣には嘸かし御退屈ごたいくつならんと下婢げぢよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「用なんか、下婢げぢよで結構間に合ひますわ。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)