“かひ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カヒ
語句割合
下婢26.9%
甲斐25.9%
8.0%
6.6%
5.7%
5.2%
4.2%
2.8%
2.8%
2.4%
下邳1.4%
佳否1.4%
家婢1.4%
0.5%
果皮0.5%
下碑0.5%
加被0.5%
可否0.5%
痂皮0.5%
華費0.5%
蚊火0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「誰?」と言いかけて走り出で、障子の隙間すきまより戸外おもてを見しが、彼は早や町の彼方かなたく、その後姿は、隣なる広岡の家の下婢かひなりき。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
にたゝへておたかくとはいひしぬ歳月としつきこゝろくばりし甲斐かひやうや此詞このことばにまづ安心あんしんとはおもふものゝ運平うんぺいなほも油斷ゆだんをなさず起居たちゐにつけて
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ホヽいやだよ此人このひとは、しゞみかひごとべてさ……あれさお刺身さしみをおかつこみでないよ。梅「へえ……あゝ心持こゝろもちになつた。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
引連ひきつれ深川萬年町に賣家うりいへかひ中島なかじま立石りふせきと改名して醫業をいとなみとせしにことほか繁昌はんじやう致し下男下女を置き妻と娘一人を相手に暫時しばし無事に消光くらしけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さすがにかひと申すだけの事はありて、中々難渋な山道に候へども一同皆々元気にて、名所古蹟などをとぶらひつつ物見遊山ものみゆさんのやうな心持にて旅をつづけ居り候、また人事にも面白き事多く
わたし自分じぶん不安ふあん苦痛くつううつたへたが、それかひはなく、このまゝ秘密ひみつにしてくれとつま哀願あいぐわんれて、此事このことは一そのまゝにはふむることにした。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
つかもりえのきに、線香せんかうけむりあはち、こけいしやしろには燈心とうしんくらともれ、かねさらこだまして、おいたるはうづくまり、をさなきたちはつどふ、やまかひなるさかひ地藏ぢざうのわきには、をんなまへいて
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かくて石橋の上なる小岩大岩の間のさびしき路を進みゆくに手をからざれば足もかひなし 一六—一八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
眼界がんかいたつするかぎ煙波えんぱ渺茫べうぼうたる印度洋インドやうちうに、二人ふたり運命うんめいたくするこの小端艇せうたんていには、く、かひく、たゞなみのまに/\たゞよつてるばかりである。
これがもう少し古くなりますと、はとかひといふやつがある。いゝ加減ぶしな人間のことを鳩の飼といふので、熊野の新宮、本宮の事を云ひ立てて、そこの鳩の飼料にするといふ名義で錢を貰ふ。
物貰ひの話 (旧字旧仮名) / 三田村鳶魚(著)
徐州は守備に不利なので、玄徳は小沛しょうはいの城にることとし、妻子一族は関羽の手にあずけて、もと呂布のいた下邳かひの城へ移した。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
句の佳否かひかかはらず、これらの句が与へる感じは、蕪村ぶそんにもなければ召波せうはにもない。元禄げんろくでも言水げんすゐ一人ひとりである。自分は言水の作品中、かならずしもかう云ふ鬼趣きしゆを得た句が、最も神妙なものだとは云はぬ。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
梨琴は、窯場で五郎大夫と親しくなって、そのめかけとも家婢かひともつかず、この家へ来たものだった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さよばひにが来ればたなぐもり雪は降り来ぬ、さぐもり雨は降り来ぬ、つ鳥、きぎすはとよむ、家つ鳥、かひも鳴く。
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
きゞすと言うのはきじだ。かひといふのはにわとり。パラパラ降つて来て、野山では雉が鳴き、家ではにはとりが鳴きだした。もうはやウツスラと夜が白んで来た。
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
元来がんらいこのバナナが正しい形状を保っていたなら、こんなえる肉はできずに繊維質のかた果皮かひのみと種子とが発達するわけだけれど
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
アンズなどは植物学上でいうところの中果皮ちゅうかひの部を食用とし、リンゴ、ナシなどは実を合成せる花托部かたくぶしょくしており、ミカンは果内かないの毛を食し、バナナは果皮かひを食し
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
介や箭四郎やしろうたちに、そう語っているあいだに、吉光の前は、十八公麿をつれて、つぼの石井戸のそばに立たせ、下碑かひの手もからずに、自身で水を汲みあげて、よごれている足や手を洗ってやっていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分らにも加被かひしていることを感じているものである。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
娘は親の択り出した人に対して可否かひの返事をするだけにとどむべきものです。決して自ら択り出そうと思うべきものでありません。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ところが、がれた割れ口を見ると、それに痂皮かひが出来ていない。まるで透明な雁皮がんぴとしか思われないだろう。が、この方は明らかな死体現象なんだよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
華費かひという山中まで来ると、変りやすい秋空がにわかにかき曇って、いちめんの暗雲になった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蚊火かひの煙などといって歌の材料になるのは、進化した専門的蚊遣でなしに、むしろ原始的な濛々たる煙の方ではないかと思う。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
かなしみ」のかひかとばかり
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
乳母おもに相談かけても、一生さうした世事に与つた事のない此人は、そんな問題には、かひない唯の女性によしやうに過ぎなかつた。先刻さつきからまだ立ち去らずに居た当麻語部の嫗が、口を出した。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
聖經せいきやうしべにひもどく花のかひ
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)