“はざま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハザマ
語句割合
狭間39.4%
19.2%
峡間11.5%
6.7%
峽間5.8%
2.9%
狹間2.9%
山峽1.9%
1.9%
岩狭1.0%
峡路1.0%
挟間1.0%
矢間1.0%
1.0%
迫間1.0%
間隙1.0%
𦩀1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
甲斐はそうみこして、虚空蔵(山)の南麓へ向かい、山つきを迂回うかいして、砦山の西から白石川へぬける狭間はざま道で、待つことにした。
深い谿たにや、遠いはざまが、山国らしい木立の隙間すきまや、風にふるえているこずえの上から望み見られた。客車のなかは一様に闃寂ひっそりしていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
主人は横をふり向いて、ピトロクリの明るい谷をゆびさした。黒い河は依然としてその真中を流れている。あの河を一里半北へさかのぼるとキリクランキーの峡間はざまがあると云った。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今更おつつみなさる必要は無からう、と私は思ふ。いや、つい私は申上げんでをつたが、東京の麹町こうじまちの者で、はざま貫一と申して、弁護士です。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
岩の峽間はざま白樫しらがし
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
低い声だが、深いはざまに反響して、言葉の端々まではっきりと聞きとれる。
顎十郎捕物帳:01 捨公方 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
汽車きしややま狹間はざま左右さいうせまる、くら斷崖だんがい穿うがつてぎるのであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いためる心山峽はざまたどる。
巡礼紀行 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
断崖と丘のはざまから、細い滝がひとすじ流れ出ていた。滝の附近の岩は勿論もちろん、島全体が濃い霧のためにあおぐろく濡れているのである。木が二本見える。滝口に、一本。かしに似たのが。丘の上にも、一本。
猿ヶ島 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それとも、教坊の陰気臭さが、奇巌きがん珍石に奥まられた、岩狭はざまやみがそれであろうか。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
やがてきついたところはそそりおおきないわいわとのあいだえぐりとったようなせま峡路はざまで、そのおくふかふか洞窟どうくつになってります。
人里と云うものは挟間はざまがあればどこまでも伸びて行くものと見えて、その三方を峰のあらしで囲まれた、ふくろの奥のような凹地くぼちの、せせこましい川べりの斜面しゃめんに段を築き、草屋根を構え
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
中幕の上は「忠臣講釈」の喜内きない住家で、団十郎の矢間はざま重太郎、菊五郎の矢間喜内、芝翫のおりえ。中幕の下は「高時」で、団十郎の高時。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
はざま川の岸に接した一農場は、細田氏という人が実際の管理をしている。細田君は遠田の農学校の出身で、自身も屈強な農夫である。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さてむかひ居たらんを見ばやと思ひて、やをら歩み出でて、すだれの間隙はざまに入り給ひぬ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲板の下は横墨よこずみと船梁で区切って、舳から順々に、表ノ間、胴ノ間、𦩀はざまノ間、艫ノ間と四つの間に別れ、表ノ間は座敷ともいい、八畳間ぐらいの畳敷で船頭がいる。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)