峽間はざま)” の例文
新字:峡間
そして、峰々の上の夕空に星が輝き、相迫つた峽間はざまの奧の闇の深い中に温泉宿の燈影を見出した時は、三人は思はず大きな聲を上げたのであつた。
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
岩の峽間はざま白樫しらがし
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
日は眞晝、眼前の瀬は日光を受けて銀色に光り、峽間はざまの風は極めて清々すが/″\しく吹き渡り、こまかな榎の枝葉は斷えず青やかな響を立てゝそよめいてゐた。
古い村 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
たゞ谷川の瀬の音が澄んだ響を冴え切つた峽間はざまの空に響かせて、星がきら/\と干乾びて光つて居る。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
お膳を出されたのは、廊下に疊の敷かれた樣な所であつたが、居ながらにして眼さきから直ぐ下に押しくだつて行つてゐる峽間はざまの嶮しい傾斜の森林を見下すことが出來た。誠によく茂つた森である。
鳳来寺紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
つぎつぎに繼ぎて落ちたぎち杉山のながき峽間はざまを落つる溪見ゆ
朝だちの足もと暗しせまりあふ峽間はざまの路にはだら雪積み
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)