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峡
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はざま
ふりがな文庫
“
峡
(
はざま
)” の例文
旧字:
峽
川が崖に沿うて走るようになり、白い巌壁からなる
峡
(
はざま
)
の鉄道橋を渡ったとき、ドナウが依然としてそう細くなってはいなかった。
ドナウ源流行
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
深い
谿
(
たに
)
や、遠い
峡
(
はざま
)
が、山国らしい木立の
隙間
(
すきま
)
や、風にふるえている
梢
(
こずえ
)
の上から望み見られた。客車のなかは一様に
闃寂
(
ひっそり
)
していた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
食堂で朝食を済ませてから、また甲板へ出て見ると、もう雨は
霽
(
あが
)
っていたが、まだ、煙のような雲が山々の
峡
(
はざま
)
を去来している。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
午前三時、四丁目の交叉点に立って新橋の方を眺めると、街燈の光も淡くほのかに、銀座の
峡
(
はざま
)
は深沈たる闇の中に沈み、
闃然
(
げきぜん
)
とものの音もない。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
山下の村人に山の名を聞くと、あれが蝶ヶ岳で、三、四月のころ雪が山の
峡
(
はざま
)
に、白蝶の
翅
(
はね
)
を延しているように消え残るので、そう言いますという。
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
耳を澄ますとどこからともなく読経の声が聞こえて来た。岩の
峡
(
はざま
)
や木の下や茨や藪の中などで、苦行している人々の熱心籠もった
唱名
(
しょうみょう
)
ででもあろう。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
主人若し打たれては残卒全からず、何十里の敵地、
其処
(
そこ
)
の川、何処の
峡
(
はざま
)
で待設けられては
人種
(
ひとだね
)
も尽きるであろう。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
見上げるばかりの切り立った岩壁は両方から次第に近づき、谿がせばまって、行手は
峡
(
はざま
)
になっている。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
赤城山の裾は西へ、榛名山の裾は東へ、そのせばまった
峡
(
はざま
)
の間に、子持山と小野子山が聳えている。
楢の若葉
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
のうら枯れた大木の落葉がちょうど小鳥の
翔
(
かけ
)
るように高い峰と峰との
峡
(
はざま
)
を舞い上がってゆく。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
こうして、しっかりしたやや狭い
峡
(
はざま
)
を平均された水勢で流れて来た気持が、今ふっと一つの巖をめぐって広いところへ出たはずみに、くるりくるりと渦をまいて居ります。
獄中への手紙:12 一九四五年(昭和二十年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
また、大尉とは義兄弟の契りを結んでゐるダニーロ・ブルリバーシュも、ドニェープルの対岸の、山と山との
峡
(
はざま
)
にある領地から若い妻のカテリーナと当歳の息子を伴れてやつて来た。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
桟橋に立ってるとき北の岡の
峡
(
はざま
)
から霧が吹き出してきたので今に島を包むかと思って眺めてたが
徐
(
ゆるや
)
かに湖をわたり東の山にそうていってしまった。秋になって霧が急にすくなくなった。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
勃凸と私と而してもう一人の仲間なるIは黙つたまゝ高い石造の建築物の
峡
(
はざま
)
を歩いた。二人は私の行く方へと従つて来た。日比谷の停留場に来て、私は鳥料理の大きな店へと押し上つた。
骨
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
まっ黒な
峡
(
はざま
)
にそそり立つ杉の大木のてっぺんが、ちょうど脚下にとどいている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
水垂
(
みづたれ
)
の岩の
峡
(
はざま
)
を垂る水の
蕭々
(
せう/\
)
として真昼なりけり
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
せまりて暗き
峡
(
はざま
)
より
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
谷の
峡
(
はざま
)
の
枯草
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
ごろた石の川洲に中腰になって
斜面
(
なぞえ
)
の嶺のほうをうかがうと、歌ごえは真向いの段々畑からばかりではなく、額を合せるように八方から迫ったあちらの嶺からもこちらの
峡
(
はざま
)
からも聞えてくる。
生霊
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
黒烟
(
くろけぶり
)
深
(
ふか
)
き
峡
(
はざま
)
は
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
峡
常用漢字
中学
部首:⼭
9画
“峡”を含む語句
山峡
海峡
峡谷
峡間
峡湾
谷峡
峡水
峡中
小峡
黒部峡谷
峡路
巴峡
津軽海峡
峡口
峡山
甲山峡水
紀淡海峡
峡田
峡東
宗谷海峡
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