“闃然”の読み方と例文
読み方割合
げきぜん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
午前三時、四丁目の交叉点に立って新橋の方を眺めると、街燈の光も淡くほのかに、銀座のはざまは深沈たる闇の中に沈み、闃然げきぜんとものの音もない。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
まずへっついの影にある鮑貝あわびがいの中をのぞいて見ると案にたがわず、ゆうめ尽したまま、闃然げきぜんとして、怪しき光が引窓を初秋はつあきの日影にかがやいている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
室内は闃然げきぜんとして、人の呻吟する声その他の物音を聞かざりき。扉をこじ開けたる時は何人もあらざりき。窓は前側のものも後側のものも鎖して内より鑰を卸しありたり。