“凹地”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くぼち83.3%
おうち16.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
恁う言ひ乍ら、渠はその目を移して西山のいただきを見、また、凹地くぼちの底の村を瞰下した。古昔いにしへの尊き使徒が異教人の国を望んだ時の心地だ。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
富士の美しくかすんだ下に大きい櫟林くぬぎばやしが黒く並んで、千駄谷せんだがや凹地くぼちに新築の家屋の参差しんしとして連なっているのが走馬燈のように早く行き過ぎる。
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
かたい古生層の岩角をつき破って湧き立つ奔流となり、イシカリの野に噴きだした。そこから南に下って一帯の凹地おうちを回転しながら流れて行った。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
澗間たにま凹地おうちに引出された女どもの疳高かんだか号泣ごうきゅうがしばらくつづいた後、突然それが夜の沈黙にまれたようにフッと消えていくのを、軍幕の中の将士一同は粛然しゅくぜんたる思いで聞いた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)