“粛然”のいろいろな読み方と例文
旧字:肅然
読み方割合
しゅくぜん79.5%
しん6.8%
しゆくぜん4.5%
しんみり2.3%
ひっそ2.3%
ひっそり2.3%
シュクゼン2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
聴衆は一度に手をたたく。手をたたくのは必ずしも喝采の意と解すべからざる場合がある。ひとり高柳君のみは粛然しゅくぜんとしてえりを正した。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
というと戸締りは厳重にしてあり、近いといっても門から家までは余程へだって居りますが、雪の粛然しんとしているから、はるかに聞える女の声。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あはれつぶてを投ずる事なかれ、うつくしき人の夢や驚かさむと、血気なる友のいたづらをしかとどめつ。年若くおもてきよき海軍の少尉候補生は、薄暮暗碧はくぼあんぺきたたへたるふちに臨みて粛然しゆくぜんとせり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それから粛然しんみりと云うのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
文三は耳をそばだてた。いそがわしく縁側を通る人の足音がして、暫らくすると梯子段はしごだんの下で洋燈をどうとかこうとか云うお鍋の声がしたが、それから後は粛然ひっそとして音沙汰おとさたをしなくなった。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
僕は土蔵くらの石段に腰かけていつもごと茫然ぼんやりと庭のおもてながめて居ますと、夕日が斜に庭のこんで、さなきだに静かな庭が、一増ひとしお粛然ひっそりして、凝然じっとして
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
以来イライ十春秋ジッシュンジュウ日夜転輾ニチヤテンテン鞭影ベンエイキミヲコクシ、九狂一拝キュウキョウイッパイ精進ショウジン御懸念ゴケネン一掃イッソウノオ仕事シゴトシテラレルナラバ、ワタクシナニオウ、コエタカク、「アリガトウ」ト明朗メイロウ粛然シュクゼン謝辞シャジノミ。
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)