“土蔵”のいろいろな読み方と例文
旧字:土藏
読み方割合
くら45.8%
どぞう25.4%
どざう10.2%
ぐら5.1%
むすめ5.1%
おくら3.4%
つちぐら1.7%
ぬりごめ1.7%
ぶんこ1.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
土蔵くらを脱け出すくらい何でもなかったのよ。妾あんまり口惜しかったから、アノお土蔵くらの二階の窓にまっていた鉄の格子こうしね。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一人先に金清楼を出で小みつが教ゆる外神田そとかんだ佐久間町河岸の船宿ふなやど小松家といふに行き土蔵どぞうづくりの小座敷に女の来るを待ちたりけり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
僕の知つてゐた大紙屋は封建時代に変りのない土蔵どざう造りの紙屋である。その又薄暗い店の中には番頭や小僧が何人もいそがしさうに歩きまはつてゐた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
時々奥庭の別土蔵ぐらの二階でチャランチャラン遣っているのが、真夜中になると微かに聞こえます。
「いいえ、おめえも、相当なものさ。これが、どこぞ、商人あきんどの、土蔵むすめでも掘るときならね。だが、武家屋敷を攻めるにゃあ、そのガニ股じゃあ、駆け引きがおぼつかないよ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
あの三ツ並んだ土蔵おくらの方角を指さして見せながら、片手をオモヨさんの肩にかけて、二三度ゆすぶられますと、最前から火のように赤うなって身体からだをすぼめていたオモヨさんが
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
右馬介はその日から、たち下屋しもやに冬中の住居を与えられた。そして、城内の土蔵つちぐらにある武具を、本間三郎が奉行となって、家来をとくしては、取り出すのである。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのかわり、嚮後きょうご、砲術に関するかぎり、一切、大きな口をきくな。火薬箪笥を抱えて、土蔵ぬりごめのなかにひっこんでいるがよかろう
ひどい煙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
仁太郎は、年上の羅宇屋も、本職の七之助も、土蔵ぶんこ破りは、名人だろうが、頭が低いな——とすぐめてしまった。で、弁をふるって
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)