粛然しん)” の例文
旧字:肅然
というと戸締りは厳重にしてあり、近いといっても門から家までは余程へだって居りますが、雪の粛然しんとしているから、はるかに聞える女の声。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二人ふたりは連れだって中二階の前まで来たが、母屋おもやでは浪花節なにわぶし二切ふたきりめで、大夫たゆうの声がするばかり、みんな耳を澄ましていると見えて粛然しんとしている。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
四辺あたり粛然しんとして水を撒いたよう。お繼は鉄切声かなきりごえ、親の敵と呼んで振冠ふりかぶったなり、面体めんていも唇の色も変って来る。うなると女でも男でも変りは無いもので
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)