“ひっそ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
40.0%
引添20.0%
13.3%
寂然6.7%
粛然6.7%
蕭条6.7%
蕭然6.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうしてもうそうなると、水足が早くなって、小銀が、姉さん、姉さんッて聞く内に、乳の下まで着いたんだよ。山の中はひっそりして、鳥の声も聞えない。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
心懸けのい、実体じっていもので、身が定まってからも、こうした御機嫌うかがいに出る志。おしゅうの娘に引添ひっそうて、身を固めてふりの、その円髷のおおきいのも、かかる折から頼もしい。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
膝なるおもかげせななる髪、柳と梅としめやかに、濡れつつ、しばしひっそとせり。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
囃子の音寂然ひっそとなりぬ。粛然として身を返して、三の松を過ぎると見えし、くるりといたる揚幕に吸わるるごとく舞込みたり
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今宵こよいもまたしかならむ、と戸に耳を附けて聞くに、ただ寂然ひっそとしたれば、し、また抜足して二足三足ぞ退きたる。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文三は耳をそばだてた。いそがわしく縁側を通る人の足音がして、暫らくすると梯子段はしごだんの下で洋燈をどうとかこうとか云うお鍋の声がしたが、それから後は粛然ひっそとして音沙汰おとさたをしなくなった。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
田口の玄関はこの間と違って蕭条ひっそりしていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
艸花くさばな立樹たちきの風にまれる音の颯々ざわざわとするにつれて、しばしは人の心も騒ぎ立つとも、須臾しゅゆにして風が吹罷ふきやめば、また四辺あたり蕭然ひっそとなって、軒の下艸したぐさすだく虫ののみ独り高く聞える。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)