寂然ひっそ)” の例文
囃子の音寂然ひっそとなりぬ。粛然として身を返して、三の松を過ぎると見えし、くるりといたる揚幕に吸わるるごとく舞込みたり
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今宵こよいもまたしかならむ、と戸に耳を附けて聞くに、ただ寂然ひっそとしたれば、し、また抜足して二足三足ぞ退きたる。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
驚きてわが走り寄る時、遁路にげみちあきたれば潜り抜けて、猫は飛び出で、遠く走る音して寂然ひっそとなりたり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)