“艸花”の読み方と例文
読み方割合
くさばな100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
文三はホッと吐息をついて、顧みて我家わがいえの中庭を瞰下みおろせば、所狭ところせきまで植駢うえならべた艸花くさばな立樹たちきなぞが、わびし気にく虫の音を包んで、黯黒くらやみうちからヌッと半身を捉出ぬきだして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
中にまじりたる少女おとめらが黒天鵝絨びろうど胸当ミイデル晴れがましゅう、小皿こざら伏せたるようなるふちせまきかさ艸花くさばなさしたるもおかしと、たずさえし目がねいそがわしくかなたこなたを見めぐらすほどに
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
西側の壁には安井曽太郎やすゐそうたらうの油絵の風景画が、東側の壁には斎藤与里さいとうより氏の油絵の艸花くさばなが、さうして又北側の壁には明月禅師めいげつぜんじ無絃琴むげんきんと云ふ艸書さうしよ横物よこものが、いづれもがくになつてかつてゐる。
漱石山房の秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)