“しゆくぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
肅然77.8%
粛然22.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そばにどんなひとがゐるか見向みむきもしなかつた。如何いかなるものがそとからはひつてても、まつた注意ちゆういしなかつた。彼等かれらきた彫刻てうこくやうおのれをして、のないへや肅然しゆくぜんすわつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たゞ此時このとき大路おほぢときひゞいたのは、肅然しゆくぜんたる騎馬きばのひづめのおとである。のあかりにうつるのは騎士きし直劍ちよくけんかげである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あはれつぶてを投ずる事なかれ、うつくしき人の夢や驚かさむと、血気なる友のいたづらをしかとどめつ。年若くおもてきよき海軍の少尉候補生は、薄暮暗碧はくぼあんぺきたたへたるふちに臨みて粛然しゆくぜんとせり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
吾人の心一度この隠れたるの声に触るゝや、乃ち襟を正し、粛然しゆくぜん森然しんぜんとして『歴史の意義』の尊厳に打たる。人はこの刹那せつなに於て、夢幻空華むげんくうげの生活より一躍直ちに真人の力と生命とをはらみ来る也。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)