肅然しゆくぜん)” の例文
新字:粛然
うろつくものには、傍目わきめらず、肅然しゆくぜんとして廊下らうかながつて、とほつて、ひろ講堂かうだうが、青白あをじろうつつてひらく、其處そこ堂々だう/\はひつたのです。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一方からは後閑武兵衞、これは羽織だけ脱いで、一刀を引拔き、逃げ路をふさいだまゝ、肅然しゆくぜんと立つて居ります。
そばにどんなひとがゐるか見向みむきもしなかつた。如何いかなるものがそとからはひつてても、まつた注意ちゆういしなかつた。彼等かれらきた彫刻てうこくやうおのれをして、のないへや肅然しゆくぜんすわつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たゞ此時このとき大路おほぢときひゞいたのは、肅然しゆくぜんたる騎馬きばのひづめのおとである。のあかりにうつるのは騎士きし直劍ちよくけんかげである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その隣りのお妾のお小夜の部屋へ入つて見ると、佛樣はもう入棺にふくわんが濟んで、型通りに飾つた机の前に、内儀のお絹は首うな垂れたまゝ肅然しゆくぜんと控へて居るのでした。
それは『かねやす』に背を向けた、東向きの裏二階で十五夜の月はもう、町並の屋根の上に昇つてをり、椽側には型通りの祭壇が、青白い月の光を受けて、肅然しゆくぜんと靜まり返つて居ります。
重々おも/\しくしづんだ調子てうしで、をとこ肅然しゆくぜんとしていつた。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)