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狭間
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はざま
ふりがな文庫
“
狭間
(
はざま
)” の例文
旧字:
狹間
こんな民土の
謡
(
うた
)
が
興
(
おこ
)
ったのも、正に明智領になってからである。こよいも
濠
(
ほり
)
をこえ、
狭間
(
はざま
)
をこえて、城下の
謡
(
うた
)
が本丸まで聞えていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甲斐はそうみこして、虚空蔵(山)の南麓へ向かい、山つきを
迂回
(
うかい
)
して、砦山の西から白石川へぬける
狭間
(
はざま
)
道で、待つことにした。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
櫓の部屋は広く頑丈で、正方形に出来ているらしく、床も天井も組細工で、壁には窓や
狭間
(
はざま
)
があって、格子がはまっているらしかった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ミイはこの船で明日の朝アメリカへ帰るんだが、こんな
狭間
(
はざま
)
でユウに逢おうなんて、こんなシャフト(目)が出ようたあミイも思っていなかったよ。
復活祭
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
自分の
狭間
(
はざま
)
の所になお
肱
(
ひじ
)
をついていたアンジョーラは、街路の先端から目を離さずに、頭を動かしてうなずいた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
高い
壁
(
かべ
)
が市のまわりをとりまいていました。ちょうど、小さな
垣
(
かき
)
が畑のまわりをとりまいているように。どの通りのはしにも、
塔
(
とう
)
と
狭間
(
はざま
)
のある壁が見えました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
岩と岩との
狭間
(
はざま
)
に打ち寄する波のあまりが、追いつ追われつしているところを描いたものです。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それがなんとなく
楽玻璃
(
グラス・ハーモニカ
)
のようでもあるが、とにかく、その
狭間
(
はざま
)
を通過する音は、恐らく弱音器でもかけられたように柔げられるであろうから、
鐘鳴器
(
カリリヨン
)
特有の残響や、また
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
蒼
(
あお
)
い炎の息を吹いても、
素奴
(
しゃつ
)
色の白いはないか、袖の
紅
(
あか
)
いはないか、と胴の
間
(
ま
)
、
狭間
(
はざま
)
、帆柱の根、
錨綱
(
いかりづな
)
の下までも、あなぐり探いたものなれども、
孫子
(
まごこ
)
は
措
(
お
)
け、僧都においては
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鋭く刻んだ
鑿
(
のみ
)
のあとは、精巧な彫刻をほどこしたアーチの
狭間
(
はざま
)
飾りからすでに消え去っている。
薔薇
(
ばら
)
の模様がかなめ石を飾っていたが、その美しく茂った姿はなくなってしまっている。
ウェストミンスター寺院
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
君死せりとふしらせを我は山深く
狭間
(
はざま
)
に居りて聞けるさびしさ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
奥山の山の
狭間
(
はざま
)
にふる雪のほのぼのつもり夜明けぬるかも
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
松をすかしてチラチラ見えるいくつもの
灯
(
ひ
)
は、
館
(
たち
)
の
高楼
(
こうろう
)
であり
武者長屋
(
むしゃながや
)
であり
矢倉
(
やぐら
)
の
狭間
(
はざま
)
であり、
長安歓楽
(
ながやすかんらく
)
の
奥殿
(
おくでん
)
のかがやきである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな無意味な感情の
狭間
(
はざま
)
の中で当惑していなければならない自分の境遇をばからしくてたまらなくなってきた。
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
岩の
狭間
(
はざま
)
に眠っていた、若い野猪が眼をさまし、
木精
(
こだま
)
を起こして吠えたのが、嵐の最後の名残りであった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その間、アンジョーラは自分の
狭間
(
はざま
)
の所にあって、耳を澄ましながら様子をうかがっていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
下から投げ上げたにしたところで、五尺とない塔の
狭間
(
はざま
)
のどこかに
打衝
(
ぶつ
)
かってしまうぜ。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
たったいま、かがんだときには、そこには、たしかに海がキラキラと、なめらかに
輝
(
かがや
)
いていました。それが、いまは、
狭間
(
はざま
)
や
塔
(
とう
)
のある壁で、かくされてしまっているではありませんか。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
二人は
麓
(
ふもと
)
から坂を一ツ、曲ってもう一ツ、それからここの天神の宮を、
梢
(
こずえ
)
に
仰
(
あお
)
ぐ、石段を三段、次第に上って来て、これから
隧道
(
トンネル
)
のように薄暗い、山の
狭間
(
はざま
)
の森の中なる、
額堂
(
がくどう
)
を抜けて
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しづかなる
川原
(
かはら
)
をもちてながれたる
狭間
(
はざま
)
の
川
(
かは
)
をたまゆらに見し
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
海ちかき
真闇
(
まやみ
)
の
狭間
(
はざま
)
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そして、返事は如何に? と見ていると、城の
狭間
(
はざま
)
や土塀のうえや
櫓
(
やぐら
)
のあたりに、忽ち無数の首が集まって、藤吉郎の方をながめていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
孫六は手早く
甲胄
(
かっちゅう
)
をつけ、二十四差したる
胡籙
(
えびら
)
を負い、
重籐
(
しげどう
)
の弓を小脇に抱き、門の上なる
櫓
(
やぐら
)
へのぼり、
中差
(
なかざ
)
しとって打ちつがえ、
狭間
(
はざま
)
の板八文字に押しひらき
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
不意をくらって、四人の役人は船頭もろとも、もろに川なかへ投げだされ、御用船のほうは上り下りの
荷足
(
にたり
)
の
狭間
(
はざま
)
へはさまって
退
(
の
)
くも引くもならなくなってしまった……
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
アンジョーラが二連発のカラビン銃を取って、自分の場所としてる一種の
狭間
(
はざま
)
に身を置くや、人々は口をつぐんでしまった。多くの小さな鋭い音が
舗石
(
しきいし
)
の壁に沿ってごったに起こった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
奥の正面、及び右なる廻廊の半ばより厚き壁にて、広き
矢狭間
(
やざま
)
、
狭間
(
はざま
)
を設く。外面は山岳の
遠見
(
とおみ
)
、秋の雲。壁に出入りの扉あり。鼓の緒の欄干
外
(
そと
)
、左の一方、
棟甍
(
むながわら
)
、並びに
樹立
(
こだち
)
の
梢
(
こずえ
)
を見す。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
狭間
(
はざま
)
を強き水
激
(
たぎ
)
ち流れけむ石むらがりて
横
(
よこ
)
たふ見れば
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「思うに、こうべ
狭間
(
はざま
)
の勝入の手勢が、
曲者
(
くせもの
)
じゃの。あの二千が、どう動くか、それによっては、このふじヶ根も、よい地の理とは申されぬ」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、櫓の
狭間
(
はざま
)
から、二百人あまりの射手の射る矢が、拳下がりの狙いうちに、
篠
(
しの
)
のように
射出
(
いい
)
だされた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
雪の橋は拱の頂点で三尺ほどの厚さしかなく、
要石
(
かなめいし
)
にあたるあたりの氷が
歪
(
ひず
)
んで脆くなっている。亀裂の縁は踏むはしから欠け、金属的な音をたてて、底も見えぬ暗い氷の
狭間
(
はざま
)
へ落ちて行く。
白雪姫
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
狭間
(
はざま
)
に漏るる
青海原
(
あおうなばら
)
、沖に
静
(
しずか
)
な
鴎
(
かもめ
)
の波。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ひとり
呟
(
つぶや
)
いて、坐り直した。そして
短檠
(
たんけい
)
の灯をふき消すと、四角な
狭間
(
はざま
)
から蒼い月の光が
映
(
さ
)
して彼の膝近くまでとどいた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
狭間
(
はざま
)
作りの鉄砲
檣
(
がき
)
! 密貿易の親船だ!
麝香
(
じゃこう
)
、樟脳、剛玉、緑柱石、煙硝、
氈
(
かも
)
、香木、
没薬
(
もつやく
)
、更紗、毛革、毒草、劇薬、珊瑚、
土耳古
(
トルコ
)
玉、由縁ある宝冠、貿易の品々が積んである! さあ
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
光春は矢倉にのぼって、残り少ない左右の者に、なお
下知
(
げち
)
していた。そして自身も、鉄砲を構えて、
狭間
(
はざま
)
から筒先下がりに敵兵を狙撃していた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
約四千は、そこを離れて、こおろぎ
狭間
(
はざま
)
の低地を北方へ出て行った。そして、
田
(
た
)
ノ
尻
(
じり
)
とよぶ高地の東南面に、陣をとった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二の丸から見ても、本丸の無数な
狭間
(
はざま
)
に、一点のあかりも洩れていないのが、さっきから、不審に思われていたのである。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それらの者がみな
水漬
(
みずつ
)
いた城壁の破れ目や、屋根の上や、
狭間
(
はざま
)
や小高い所などから、声こそ揚げないが手をあわせ、眼を
拭
(
ぬぐ
)
いつつ、見送っていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼が櫓の
狭間
(
はざま
)
に顔をだした時、誰からともなく伝えられたとみえ、広間を出て来た藩士たちが、四五人ずつかたまって、城下の方を
凝視
(
ぎょうし
)
していた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たそがれ頃まで、南の
狭間
(
はざま
)
で小銃の音がかなり烈しく聞えていた。時折、
格天井
(
ごうてんじょう
)
もゆすれるような大鉄砲の音が
交
(
ま
)
じる。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
沈黙の巨人のように、岡崎城の
物見櫓
(
ものみやぐら
)
が、木枯しの中に、突っ立っている。
狭間
(
はざま
)
狭間にも、こよいは、灯影が見えない。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城の唐橋を駈渡りながら、
狭間
(
はざま
)
狭間に案じている留守の将士に、ひとり残らず聞えわたるような大声をあげて行った。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼が、門櫓に立ち、
狭間
(
はざま
)
をひらいて、弓をしぼり始めた頃は、すでに敵は
潮先
(
しおさき
)
みたいにひたひたと近づき寄って
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると、城の
狭間
(
はざま
)
から、髪の白い一人の老武士が顔をだした。見ると、物の具をすっかり解いて、
麻裃
(
あさがみしも
)
に平服を着ているのである、白扇を振って答えながら
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とせき立てたかれは、むりにかれの手をとって、
築山
(
つきやま
)
から、城の
土塀
(
どべい
)
によじのぼり、
狭間
(
はざま
)
や、わずかな足がかりを力に、二
丈
(
じょう
)
あまりの
石垣
(
いしがき
)
を、すべり落ちた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
狭間
(
はざま
)
の壁に、太い柱に。なお、屋根の
鯱
(
しゃち
)
や
廂
(
ひさし
)
の瓦などが吹飛んでいるのは砲弾の
炸裂
(
さくれつ
)
によるものであろう。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の眼には、その要害のなかに
安
(
やす
)
んじている
曲輪
(
くるわ
)
曲輪の
燭
(
しょく
)
や
狭間
(
はざま
)
の灯が、
儚
(
はかな
)
いものとすら見えたのである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、城内は相かわらずで、深更まで
狭間
(
はざま
)
に
明々
(
あかあか
)
と
燈火
(
ともしび
)
が望まれ、どうかすると
濠水
(
ほりみず
)
に、悠長な
能管
(
のうかん
)
の音や
小鼓
(
こつづみ
)
の鳴りひびいていたりすることもありますが」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ朝霧が深く、河ひとつ
距
(
へだ
)
てた城の石垣も
狭間
(
はざま
)
も白くぼかされて、十分に視野が
展
(
ひら
)
けないからである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
云い終ると、蒲団包みや、
莚
(
むしろ
)
ぐるみの荷物を、
細曳
(
ほそびき
)
にからげて、
狭間
(
はざま
)
から下へするする降ろして来た。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして勝入は、のこる二千人を
擁
(
よう
)
して、予備隊のふくみを持ち、そのまま、こうべ
狭間
(
はざま
)
に、陣どった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“狭間”の解説
狭間(さま)とは、おもに日本の城の天守や櫓の壁面、塀などに開けてある防御用の穴や窓のこと。銃眼、砲門とも。内側から外側に向かって円形・三角形・正角形・長方形などの穴が開けられており、戦闘の際はそこから弓矢や鉄砲などで攻撃した。
(出典:Wikipedia)
狭
常用漢字
中学
部首:⽝
9画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“狭間”で始まる語句
狭間塀
狭間田
狭間信之
狭間廊下