かひ)” の例文
新字:
越えて來た方はかひから峽、峰から峰にかけて眼の及ぶ限り、一面の黒木の森であつた。とがもみなどの針葉樹林であつた。
つかもりえのきに、線香せんかうけむりあはち、こけいしやしろには燈心とうしんくらともれ、かねさらこだまして、おいたるはうづくまり、をさなきたちはつどふ、やまかひなるさかひ地藏ぢざうのわきには、をんなまへいて
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
數時の後挾き山のかひに出でぬ。こゝに伊太利イタリアの澤池にめづらしからぬ藁小屋一つあり。とうに藁まぜて、棟より地までき下せり。壁といふものなし。燈の光は低き戸の隙間洩りたり。
此方此方こちごち 山のかひ
かひをくるバスの遠音も
一点鐘 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
かひよりかけて斷續きれ/″\
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
筑摩川ちくまがはは、あとに月見堂つきみだうやまかげから、つきげたるあみかとえる……汽車きしやうごくにれて、やまかひみね谷戸やとが、をかさね、あぜをかさねて、小櫻こざくら緋縅ひをどし萌黄匂もえぎにほひ櫨匂はじにほひを、青地あをぢ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
高き橋此處にかかれりせまりあふ岩山のかひのせまりどころに
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
しらじらとながれてとほき杉山のかひの淺瀬に河鹿なくなり