トップ
>
寤
>
さ
ふりがな文庫
“
寤
(
さ
)” の例文
その大刀をお受け取りなさいました時に、熊野の山の惡い神たちが自然に皆切り仆されて、かの正氣を失つた軍隊が悉く
寤
(
さ
)
めました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
太子問ひたまふ所の義、師(
慧慈
(
ゑじ
)
)も通ぜざる所有り。太子夜の夢に金人の
来
(
きた
)
りて不解
之
(
の
)
義を教ふるを見たまふ。太子
寤
(
さ
)
めて後即ち
之
(
これ
)
を
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
まだ中学に居る頃からの宿題で、寐ても
寤
(
さ
)
めても是ばかりは忘れる
暇
(
ひま
)
もなかったのだが、中学を卒業してもまだ
極
(
きま
)
らずに居たのだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
為
(
な
)
す事もあらねば、貫一は
疾
(
と
)
く
臥内
(
ふしど
)
に入りけるが、
僅
(
わづか
)
に
眊
(
まどろ
)
むと為れば
直
(
ぢき
)
に、
寤
(
さ
)
めて、そのままに
睡
(
ねむり
)
は
失
(
うす
)
るとともに、様々の事思ひゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ある時ヒロ窟中に眠れるに乗じ闇の神来って彼を滅ぼさんとす。一犬たちまち吠えて主人を
寤
(
さ
)
まし、ヒロ起きて衆敵を平らぐ。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
そして自分の村に帰ったかと思うと、
豁然
(
かつぜん
)
として夢が
寤
(
さ
)
めたようになった。その時宋公は死んでから三日になっていた。
考城隍
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
絶望のまゝ、幾晩も仰ぎ寝たきりで目は昼よりも
寤
(
さ
)
めて居た。其間に起つた夜の間の現象には、一切心が留らなかつた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
曾はそこでからりと夢が
寤
(
さ
)
めた。見ると老僧はなお座の上に座禅を組んだままであった。仲間の者は口々に言った。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
寤
(
ご
)
果して寤か、
寐
(
び
)
果して寐か、我是を疑ふ。
深山
(
しんざん
)
夜に入りて籟あり、人間昼に於て声なき事多し。
寤
(
さ
)
むる時人真に寤めず、寐る時往々にして至楽の境にあり。
富嶽の詩神を思ふ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
寝ても
寤
(
さ
)
めても恩義の程を忘れず、万事に気を利かして、骨身を惜まず一生懸命にくれ/\と働き、
子
(
ね
)
に
臥
(
ふ
)
し寅に起るの誡めの通り、子と云えば前の九ツで
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白日
(
まひる
)
も夢見る村の一人の遊び人が、ある日樫の木の下の草地に腰を下して、水車の
軋々
(
ぎいぎい
)
と廻るを見つゝ聞きつゝ、例の睡るともなく
寤
(
さ
)
むるともなく、此様な問答を聞いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
妾が血を
焚
(
や
)
いて熱をなすものは何ぞ。妾を病ましむるものは何ぞ。妾は
寤
(
さ
)
めて何をか思へる。妾は
寐
(
いね
)
て何をか夢みたる。おん身の愛憐のみ。おん身の接吻のみ。アントニオよ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
寤
(
さ
)
むる時人真に寤めず、
寐
(
ね
)
る時往々にして至楽の境にあり、身躰四肢必らずしも人間の
運作
(
うんさく
)
を示すにあらず、別に人間大に施為する所あり、ひそかに思ふ終に寤ざるもの真の寤か
唯心的、凡神的傾向に就て(承前)
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
吾人が睡りつ
寤
(
さ
)
めつするのは、睡らんと欲して睡る時も有り、寤めんと欲して寤むる時も有るが、又睡らんと欲するにあらずして、おのづからに睡り、寤めんと欲するにあらずして
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
生き別れをした
吾子
(
わがこ
)
を尋ね当てるため、六十余州を
回国
(
かいこく
)
して、
寝
(
ね
)
ても
寤
(
さ
)
めても、忘れる
間
(
ま
)
がなかったある日、十字街頭にふと
邂逅
(
かいこう
)
して、
稲妻
(
いなずま
)
の
遮
(
さえ
)
ぎるひまもなきうちに、あっ、ここにいた
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ジヤルルック君車上より声かけしが、
寤
(
さ
)
めず。車を下りて呼びさまし来る。此は夜をこめてエルサレムより余等の乗る可き馬を
牽
(
ひ
)
き来り
此処
(
こゝ
)
に待てる
馬士
(
まご
)
イブラヒム君とて矢張シリヤ人なり。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
年寄は長く寐なくてはちょいと
寤
(
さ
)
めている間に
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
觸れやすき思ひに
寤
(
さ
)
むる。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
絶望のまま、幾晩も仰ぎ寝たきりで、目は昼よりも
寤
(
さ
)
めて居た。其間に起る夜の間の現象には、一切心が留らなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
その時王
寤
(
さ
)
めて、われ稀代の夢を見た、
譬
(
たと
)
えば磨いた
鋼
(
はがね
)
作りの橋を渡り、
飛沫
(
ひまつ
)
四散する急流を渡り、金宝で満ちた地下の宮殿に入ったと見て寤めたと。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
去年の暮から
全半歳
(
まるはんとし
)
、その者の
為
(
た
)
めに感情を支配せられて、
寐
(
ね
)
ても
寤
(
さ
)
めても忘らればこそ、死ぬより
辛
(
つら
)
いおもいをしていても、先では
毫
(
すこ
)
しも汲んでくれない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
かくて還つておいでになつて、
玉倉部
(
たまくらべ
)
の清水に到つてお休みになつた時に、御心がややすこしお
寤
(
さ
)
めになりました。そこでその清水を
居寤
(
いさめ
)
の清水と言うのです。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
彼は冷汗に
浸
(
ひた
)
って
寤
(
さ
)
めた。惟うに彼は夢に畜生道に堕ちたのである。
現
(
うつつ
)
の中で生きた人を喰ったり、死んだ死骸を喰ったりばかりして居る彼が夢としては、ふさわしいものであろう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それがために紅い丸は気に
随
(
したご
)
うて喉に入り、かくかくという響をさした。そして暫くすると孔生は生きかえったが、一族の者が前に集まっているのを見て夢の
寤
(
さ
)
めたような気になった。
嬌娜
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私
(
わっち
)
ア何う云う訳で
此様
(
こん
)
な悪い事をしたかと思ってね、今夢の
寤
(
さ
)
めたような心持で……その布卷吉さんは茂之さんの子たア知らねえ、年の
往
(
ゆ
)
かねえで親の敵を討とうと云う其の孝心を考え
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
寤
(
さ
)
むる時、亦た
斯
(
かく
)
の如し、
意
(
おも
)
はざらんと思ふに意ひ、意はんと思ふに意はず。
山庵雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
王は
寤
(
さ
)
めてそれを嬰寧に話した。嬰寧はいった。
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
寤
(
さ
)
めてかつひに夢みてか
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
かく久しく断食した人が定を出たら
酥油
(
そゆ
)
を注いで全身を
潤
(
うるお
)
し、さて犍稚を鳴らして
寤
(
さ
)
ますがよいと答えた。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
この時に熊野の
高倉下
(
たかくらじ
)
、一
横刀
(
たち
)
をもちて、天つ神の御子
四
の
伏
(
こや
)
せる
地
(
ところ
)
に到りて獻る時に、天つ神の御子、すなはち
寤
(
さ
)
め起ちて、「
長寢
(
ながい
)
しつるかも」と詔りたまひき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
かれ
寤
(
さ
)
めて問ひ給ひしかば、
爾時
(
ソノトキ
)
に「
御津
(
ミアサキ
)
」と
申
(
まお
)
しき。その時
何処
(
いずく
)
を
然
(
しか
)
言ふと問ひ給ひしかば、即、
御祖
(
ミオヤ
)
の前を
立去於坐
(
タチサリニイデマ
)
して、石川渡り、阪の上に至り留り、
此処
(
ここ
)
と申しき。
水の女
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
寤
(
さ
)
めざるもの誰ぞ、悟らざるもの誰ぞ。
損喪
(
そんさう
)
せざるもの
竟
(
つひ
)
に
何処
(
いづこ
)
にか求めむ。
富嶽の詩神を思ふ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
阿宝は急いで呼びかえそうとしたが、もう遠くの方へ往ってしまった。そこで女は婆さんの
婢
(
じょちゅう
)
に言いつけて、孫の家へ履を探しに往かしたが、婆さんが往ってみると、孫はもう
寤
(
さ
)
めていた。
阿宝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と、周の眼が
寤
(
さ
)
めた。そこで周は
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
地中に込み入った巣を穿ち特に穀倉を造り、秋末に穀豆をその頬に押し込んで多量に貯え、その中に眠って極寒時を過し、二、三月になると
寤
(
さ
)
めて居食いする。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
この時熊野のタカクラジという者が一つの大刀をもつて天の神の御子の臥しておいでになる處に來て奉る時に、お
寤
(
さ
)
めになつて、「隨分寢たことだつた」と仰せられました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
長摩納父の仇を復すはこの時と利剣を抜いて王の首に擬したが、父王平生人間はただ信義を貴ぶべしと教えたるを思い出し、
恚
(
いか
)
りを
息
(
やす
)
め剣を納めた時
俄然
(
がぜん
)
王驚き
寤
(
さ
)
めた。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
玉倉部
(
たまくらべ
)
の
清泉
(
しみづ
)
三
に到りて、息ひます時に、御心やや
寤
(
さ
)
めたまひき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
ラ
寤
(
さ
)
むるを
俟
(
ま
)
ちて請いて兄弟分と
為
(
な
)
る、竜
夥
(
なかま
)
の習い、毎日順番に一人ずつ、木を伐り水汲みに往く、やがてラが水汲みに当ると、竜の用うる桶一つが五十ガロン入り故
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
西暦四五〇年テオドシウス若帝の治世に至り、七人始めて
寤
(
さ
)
めてエフェスス村に入った。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
犬傍にありて衣の裾を
咬
(
くわ
)
えて引く、やや
寤
(
さ
)
めてまた
寐
(
い
)
ぬれば犬しきりに枕頭に吠ゆ。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その人
寤
(
さ
)
めて多くの帽失えるを知り失望してその帽を地に
抛
(
なげう
)
つと、衆猴その真似してことごとく盗むところの帽を投下し、商人測らず失うところを残らず取り還したてふ話があると。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
王ついに鼠の声に
寤
(
さ
)
まされ、さては鼠の助けで蛇害を免れたと知り、山下の村の年貢でかの鼠を養わしめ、その村を迦蘭陀すなわち鼠村と付けたとある。また仏
成道
(
じょうどう
)
していまだ久しからず。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
寤
(
さ
)
めてまた僧となり、袈裟一枚大の地を求むるので承知すると、袈裟を
舒
(
の
)
ばせば格別大きくなる。かくて広い地面を得て、大工を招き大きな家を立てると、陥って池となり、竜その中に住む。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
寤
漢検1級
部首:⼧
14画
“寤”を含む語句
寤寐
居寤
人寤
寤寝切
居寤清水
悔寤
感寤
日子寤間