“攫(さ)” の例文
斯ういう痣があればこそ僕は民間から攫(さ)らわれて喇嘛の高位に登ったのだ。そしてこの痣のあることは長老以外には誰も知らない。
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
へい、辻の橋の玄徳稲荷(げんとくいなり)様は、御身分柄、こんな悪戯(いたずら)はなさりません。狸か獺(かわうそ)でござりましょう。迷児の迷児の、——と鉦(かね)を敲(たた)いて来やがって饂飩を八杯攫(さ)らいました……お前さん。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)