“獻(さ)” の例文
新字:献
志田君は、盃を下にも置かず、相不變(あひかはらず)愛嬌を振舞いて居たが、お酌に𢌞つて來た市子を捉へて私の前に坐らせ、兩手の盃を一つ私に獻(さ)して
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「まア一つおあがりやへえな。」と、女中は盃洗の底に沈んでゐた杯を取り上げ、水を切つて、先づ源太郎に獻(さ)した。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「お時さんは飮(い)けるんやよつて。」と、お駒は道臣が自分に獻(さ)した盃をお時の前へ置いて、波々と注いだ。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
と市子は怖い目をして見せたが、それでも志田君の貸した盃を受取つて、盃洗に淨めて私に獻(さ)した。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「一つ何うや。」と、道臣はお安に盃を獻(さ)したけれど、お安は相變らず笑つて受けなかつた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「重衡は杯を千手に獻(さ)して、えゝ聲で歌うた。……」とやりかけると、仙太郎がまた
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
微醉(ほろゑひ)の父は、かう叫んで、持ち合はした杯を獻(さ)した。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)