)” の例文
こちらを向く気配にもう頭をげていた。そんなふうに身をかがめて、吹きつけて来る風当りを少しでも避けようとしていたのだ。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
うやうやしくあたまげているわたくしみみには、やがて神様かみさま御声おこえ凛々りんりんひびいてまいりました。それは大体だいたいのような意味いみのお訓示さとしでございました。
満枝は惜まず身をくだして、彼の前にかしらぐる可憐しをらしさよ。貫一は如何いかにともる能はずして、ひそかかうべいたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
七斤は象牙の吸口と白銅の雁首の附いている六尺余りの斑竹はんちくの煙管を手にして、頭をげてぶらぶら歩いて来た。
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)
私は何度も「すみません」とお辞儀したが、それより他に言葉もめっからないので、しまいには黙って頭をげていた。泣きだしたくなるのを我慢して。
こんにゃく売り (新字新仮名) / 徳永直(著)
間もなく、佐原屋の亭主と、同宿の長老というわけで、垣見吾平、小野寺十内、村松喜平などがその部屋へやって来て、二人のために、狂太郎のまえに頭をげた。
口笛を吹く武士 (新字新仮名) / 林不忘(著)
従僕はあやまるように頭をげた。ッとしていられない気持は、夜明けの遅い秋の朝を自分の責任のように恐縮した。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「いや、そうでない。大衆は済度さいどしがたいものです。愚劣な敵討物を騒ぐだけでもそこらのことはよくわかります。調子をげれば大当り受合いだと思いますがな。」
仇討たれ戯作 (新字新仮名) / 林不忘(著)
時勢じせい変化へんかはこちらからるとじつによくわかります。神霊しんれいるか、いかもあやふやな人達ひとたちから、たん形式的けいしきてきあたまげてもらいましても、ドーにも致方いたしかたがございませぬ。
さうしておまけに、阿父さんから十分に訳を言つて、頭をげないばかりにして頼んだのぢやないかね。だから此方こつちには少しも無理は無いはずだのに、貫一があんまり身の程を知らなすぎるよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
大方われわれの話声はなしごえを聞きつけて来たのだろう。閏土は丁寧に頭をげて
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
川上忠一は右肩をいからかして教卓の前に直立不動の姿勢をつくり、ぺこんと頭をげた。それから薄い唇をぺちゃぺちゃと舐めてみんなを見まわした。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
と頭をげて、大次郎は今さらのように、隣室のけはい、縁の闇黒やみへ注意を払った。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
お俊は再びかしらげぬ。紳士はゑみを含みて目礼せり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「その隊長のカルペンコなるものがただ一度頭をげた——」と、そう云った堀のほおがびくびくとふるえた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
ぴょこりと頭をげて、上り口にすわった。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
大次郎は、そう言って頭をげた。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)