“単”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
ひとえ41.8%
ひと16.4%
ただ10.9%
たん10.9%
3.6%
ひとへ3.6%
ぜん1.8%
たっ1.8%
ひそか1.8%
ひたぶる1.8%
ひとり1.8%
1.8%
ヒトエ1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あるかなきかのそよ風が軒に釣り古した風鈴に忍びやかな音を伝えて、簾越しにスーッと、汗ばんだひとえ衣の肌を冷かに撫でて行った。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
彼が死に到るまで、その父母に対してはもとより、その兄妹に対して、きくすべき友愛の深情をたたえたるは、ひとりその天稟てんぴんのみにあらず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
うぢやろ、然うぢやろ。」とおうなはまたうなずいたが、ただうであらうではなく、まさうなくてはかなはぬと言つたやうな語気であつた。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これはたんなる偶然ぐうぜんか、それとも幽冥ゆうめい世界せかいからのとりなしか、かみならぬには容易ようい判断はんだんかぎりではありません。
梅の花は天下の尤物ゆうぶつだといわれます。これをみどりの松、緑の竹に比べますと色があってこの二つに取り添うと何んとなく軟かい一脈の趣が生じます。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
此辺之処閣下御洞察に而、御病中ながら何卒なにとぞ御処置被遊候御儀、ひとへに奉願候也。正月二十一日薫子。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
しかし凌州りょうしゅうの野で、二箇月にわたる戦いのすえ、ついに呉用そのほかの助勢もあって、関勝かんしょうはそれに成功し、ぜんの二大将を、とうとう梁山泊の仲間へ誘い入れてしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するとお前さん、大将が私の前までおいでなすって、お前にゃたった一人の子息むすこじゃったそうだなと、恐入った御挨拶でござえんしょう。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
また娘が寝たきりになってからはひそかに薬をもらいに行ってやったりしたことがあるということを、あるときそのお婆さんが愚痴話に吉田の母親をつかまえて話したことがあると言って
のんきな患者 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
かくいへばとてひたぶるに閑寂を好み、山野に跡をくらまさんとにはあらず、やゝ病身人にみて世を厭ひし人に似たり。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
ひとりこれを知るものは、秋山警部長の夫人蔦子であった。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ダ宜シク汝ガ多年ノ厚誼ヲ謝シ、汝ガ平生ノ労苦ヲ慰ム可キノミ。柳北不才叨リニ社長ノ重任ヲ担ヒ、諸子ト共ニ本日ノ盛宴ニ臨ム。
祭活字子文 (新字旧仮名) / 成島柳北(著)
予ガ子々孫々誓ッテ守ルベシ、大和田八郎次オオワダハチロウジ、病気平癒ノ祈願致セシトコロ、九死ニ一生ヲ得テ幸イニ病魔ノ退散ヲ見タルハ、コレヒトエニ当豊明権現ノ御加護ニ依ルトコロナリ