“ひとり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒトリ
語句割合
一人70.6%
12.8%
一個3.3%
2.7%
独身2.0%
単独1.5%
孤独1.0%
一箇0.7%
単身0.6%
0.4%
0.4%
一者0.3%
0.3%
獨身0.3%
独自0.2%
自然0.2%
0.1%
單獨0.1%
0.1%
一人者0.1%
一位0.1%
一員0.1%
一婢0.1%
一方0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
單身0.1%
孤児0.1%
孤獨0.1%
採火女0.1%
0.1%
独人0.1%
独居0.1%
独手0.1%
独酌0.1%
生命0.1%
0.1%
香爐0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
他の一人ひとりは帽子が飛ぶと同時に飛んだ帽子の事だけ考へて、夢中になつてそのあとを追ふ。自転車にぶつかる。自動車にかれかかる。
拊掌談 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
親類の子供もわたくしの家には寄りつかないようになっているから、今では結局はばかるものはない。ただひとり恐るきは操觚そうこの士である。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこへ……いまお道さんが下りました、草にきれぎれの石段を、じ攀じ、ずッとあがって来た、一個ひとり年紀としわか紳士だんながあります。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
有仰おつしやれば、女だツて仍且やつぱりうでございませうよ。出來る事ならひとりでゐた方が幾ら氣樂きらくだか知れやしません。」とひやゝかにいふ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「さあ、四十位? と思いますが……まだお独身ひとりで、快活なお方ですから、キャプテンよりもむしろ奥様や洋吉様とお親しい様子で……」
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
仮令たとひ我輩が瀬川先生を救ひたいと思つて、単独ひとり焦心あせつて見たところで、町の方で聞いて呉れなければ仕方が無いぢや有ませんか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ほしは、平常いつも孤独ひとりで、不平ふへいばかりいっているかしのあわれにおもったのでありましょう。そのやさしい、なみだぐんだつきで、こんもりとくろずんだらしていましたが
大きなかしの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
親のない孫と、子のない祖父の外に、此一軒家にはモ一箇ひとりの活物がゐた。それはお雪より三倍も年老つた、白毛の盲目馬めくらうまである。
散文詩 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「ありがとう、それで何もかもわかった。ヨシ子が駄々をこねて、単身ひとりで佐賀へ行きかけたのは、どうも少々オカシイと思ったが……そこいらの消息を薄々感付いたんだナ」
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
われたゞひとりとなりぬ。君の御前みまへでては、更に新らしきわが身のおもひして
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
不安は彼の足をひとりでにはやめさせた。物に追われるような眼いろを持って、その眼は又、妻の姿を探し歩いた。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この時一者ひとりトスカーナのことばをきゝてうしろよりよばゝりいひけるは、くろずめる空をわけてはせゆく者等よ、足をとゞめよ 七六—七八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
但しほか嗣子よつぎについてはかくいひがたし、ヤーコモとフェデリーゴ今かの國を治む、いと善きものをばそのひとりだに繼がざりき 一一八—一二〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「忙しい時は、掃除も手傳へば、飯も炊くよ。よく見習つて置くが宜い。お前も何時までも獨身ひとりぢやあるめえ、あんまり女房に骨を折らせるばかりが、男の見得ぢやないよ」
彼の仕事はもう彼独自ひとりの生活となっていた。
土地 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
幾千の弓張ゆみはり提灯の上を神輿みこし自然ひとりで動くやうに見えて四方に懸けた神鏡しんきやうがきら/\として通つたあと二三十分で祭の街は死んだやうに静かになつて、海の風がを送る。
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
渓流たにがわの音が遠く聞ゆるけれど、二人の耳には入らない。ひとりの心は書中しょちゅうに奪われ、ひとりは何事か深く思考おもいに沈んでいる。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「うん」とこたえたぎり、ひとりは見向きもしない。するとひとりは巻煙草を出して
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それでは、稻妻いなづま私共わたくしどもわかれて、單獨ひとりで、このさびしい、おそろしいやまえて、大佐たいさ叔父おぢさんのいへへお使者つかひくのですか。
わたくし單獨ひとりさけんでた。いてかゝ妄念まうねん打消うちけさんとてわざ大手おほてつて甲板かんぱんあゆした。
渓流たにがわの音が遠く聞ゆるけれど、二人の耳には入らない。ひとりの心は書中しょちゅうに奪われ、ひとりは何事か深く思考おもいに沈んでいる。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
左様そうサね、僕は忘れて了った。……何とか言ったッけ。」とひとり書籍ほんを拾い上げて、何気なにげなく答える。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「それは御無理はありません。七年も八年も奥さんのおあんなさった方が急に一人者ひとりにおなんなすったのでは。誰れか一人楽しみがなければつまりません」
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
新約聖書はいう「それ神は一位ひとりなり、また神と人との間には一位の仲保あり、すなわち人なるキリストイエスなり」と(テモテ前書二の五)。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
『しかし、其が奈何どうした。』と丑松は豆畠の間の細道へさしかゝつた時、自分で自分を激厲はげますやうに言つた。『自分だつて社会の一員ひとりだ。自分だつてひとと同じやうに生きて居る権利があるのだ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今日に限つて、出時も昼后、供は一婢ひとりを、二婢ふたりにして、この間の今日の日に、お前ばかしを残すのは、よほど凄い思わくが、なくては、出来ぬ仕事じやないか。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
……石段下のそこの小店のおばあさんの話ですが、山王様の奥が深い森で、その奥に桔梗ヶ原ききょうがはらという、原の中に、桔梗の池というのがあって、その池に、お一方ひとり
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ああ、まっすぐないいだこと。かぜにも、ゆきにもれないで、よくそだちましたね。ほんとうにつよい、雄々おおしいわかですこと。どんなにこのやまうえに一ひとりっているのではさびしいでしょうね。
山の上の木と雲の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひとりこれを知るものは、秋山警部長の夫人蔦子であった。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
頃者このごろ年穀ねんこく豊かならず、疫癘やくらいしきりに至り、慙懼ざんくこもごも集りて、ひとりらうしておのれを罪す。これを以て広く蒼生さうせいためあまね景福けいふくを求む。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
單身ひとりして王城わうじやういたらしめ、桃太郎もゝたらう
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「レエヌさんは、孤児ひとりになってしまったわけね」
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
かよわくて御國みくにはぐくむ歌もなし身は孤獨ひとりにてよる胸もなし
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
すなは震天動地しんてんどうち軍事上ぐんじじやう大發明だいはつめいをなして、その發明はつめい軍機上ぐんきじやう大秘密だいひみつとして、我國わがくににのみひとりにあり、他邦たほうには到底とうているべからず、歐米をうべい諸國しよこくこれあるかぎりは
餉台ちゃぶだいは奥の間へ持って行かれたし、母が先生のそばへつききりなので彼は台所の畳の上で独人ひとりあてがわれたやっこい方の御飯をよそって食べ始めた。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
窓をすかして、独居ひとりの時、かの可哀あわれこけいたる青楓の材を見れば、また姉上の憂目を訴えたまいしがごとく思われつつ、心いたく惑いてつむりの苦しきが、いずれか是なる、いずれか非なる。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
近年他にことなる御したしみにて候故、今もまことしからす、御国に御座候て、不日に御参府も候様におもはれ、さても/\と俄に又驚様おどろくさまにて、独手ひとりを打事まてにて候。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大「いや独酌ひとりで飲んでもうまくないから、貴様と打解けて話をしようと思って」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
処刑死をおそれし夢よ覚悟なくいまある生命ひとり独りいとしむ
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
高利貸のわなかかつたばかりで、自分の躯には生涯のきずを付け、ひとりの母親は……殺して了ひ、又その上に……許婚いひなづけは破談にされ、……こんな情無い思を為る位なら
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
夜殿よどの香爐ひとりのかをり高に
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)