ひとり)” の例文
さんとしたおもてを——みだれ髪の毛を——大地に伏せてはいるけれど、心のうちには、何か寛々ひろびろとしたものがあった。ひとりでに可笑しくさえなる余裕があった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不安は彼の足をひとりでにはやめさせた。物に追われるような眼いろを持って、その眼は又、妻の姿を探し歩いた。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寝転んで、ほんを読んでいる間もふと、ニタリと、悪魔的な微笑ほほえみがひとりでにくちの辺へのぼってくる——
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木牛流馬もくぎゅうりゅうばは入神の自動器械で、人の力を用いずひとりでに走った。「戎州志じゅうしゅうし
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)