“黯”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くろ53.8%
くら23.1%
くろず7.7%
ぐろ7.7%
なず7.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今は秋陰あんとして、空に異形いぎょうの雲満ち、海はわが坐す岩の下まで満々とたたえて、そのすごきまでくろおもてを点破する一ぱんの影だに見えず。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
畑では麦が日に/\照って、周囲あたりくらい緑にきそう。春蝉はるぜみく。剖葦よしきりが鳴く。かわずが鳴く。青い風が吹く。夕方は月見草つきみそうが庭一ぱいに咲いてかおる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そのひとりいふ、この軟かき處の幸なさ、くろずみ爛れし我等の姿、たとひ我等と我等の請ひとに侮りを招く事はありとも 二八—三〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
判事はじっとその様子に眼をつけていたが、やがて、どすぐろい血痕の附着した一枚の紙をひろげて
無駄骨 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
かくてぞ漸くに暮れ行く空の、コバルトの色なずみて、やがて暗く、かは誰の人顔も定かならぬ折柄、椽近く座を占めて仰ぐ軒端に、さり気ない釣忍の振舞いもなかなかに悪からず、眺め深いものだ。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)