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黯
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くら
ふりがな文庫
“
黯
(
くら
)” の例文
畑では麦が日に/\照って、
周囲
(
あたり
)
の
黯
(
くら
)
い緑に
競
(
きそ
)
う。
春蝉
(
はるぜみ
)
が
鳴
(
な
)
く。
剖葦
(
よしきり
)
が鳴く。
蛙
(
かわず
)
が鳴く。青い風が吹く。夕方は
月見草
(
つきみそう
)
が庭一ぱいに咲いて
香
(
かお
)
る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
貫一は彼を
以
(
も
)
て女を
偸
(
ぬす
)
みて
奔
(
はし
)
る者ならずや、と
先
(
まづ
)
推
(
すい
)
しつつ、
尚
(
な
)
ほ如何にやなど、飽かず疑へる間より、
忽
(
たちま
)
ち一片の反映は
閃
(
きらめ
)
きて、
朧
(
おぼろ
)
にも彼の胸の
黯
(
くら
)
きを照せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
頭がようやく冴えて来た、足許の岩では、偃松が近くは緑に、遠くは
黯
(
くら
)
くなって、
蜿
(
う
)
ねっている、天外絶域の、荒れはてた
瘠土
(
やせつち
)
にまで、漂って来た、緑の垂直的終点を、私は今踏んでいるのだ。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
川上
(
かわかみ
)
の空に湧いて見えた黒雲は、
玉川
(
たまがわ
)
の水を
趁
(
お
)
うて南東に流れて来た。彼の一足毎に空はヨリ
黯
(
くら
)
くなった。彼は足を早めた。然し彼の足より雲の脚は尚早かった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
血は
滾々
(
こんこん
)
と益す流れて、
末期
(
まつご
)
の影は次第に
黯
(
くら
)
く
逼
(
せま
)
れる気色。貫一は見るにも
堪
(
た
)
へず心乱れて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
此家の主人の病気が、如何に此家の機関を停止して居たかが
分
(
わ
)
かる。美的百姓も、
黯
(
くら
)
い気分になった。此家の若主人に
妻君
(
かみさん
)
があったか
如何
(
どう
)
か、と辰爺さんに尋ねて見た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
黯
漢検1級
部首:⿊
21画
“黯”を含む語句
蒼黯
微黯
黯黮
黯然
黯青
真黯
黯淡
黯澹
黯緑
汲黯
黝黯
黯湛
黯痣
黯褐
黯黒