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書中
読み方 | 割合 |
しょちゅう | 60.0% |
しよちゆう | 20.0% |
なか | 20.0% |
渓流の音が遠く聞ゆるけれど、二人の耳には入らない。
甲の心は
書中に奪われ、
乙は何事か深く
思考に沈んでいる。
而して
其考へは
唯一
瞬間にして
消えた。
昨日讀んだ
書中の
美しい
鹿の
群が、
自分の
側を
通つて
行つたやうに
彼には
見えた。
此度は
農婦が
手に
書留の
郵便を
持つて、
其れを
自分に
突出した。
その場を体よく、夫の視線避けけるも、
書中の子細の
危まるるを、先づ秘かにと思へるなるべし。