“なか”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナカ
語句割合
38.9%
13.5%
8.1%
7.4%
5.8%
内部4.2%
3.4%
2.3%
2.2%
吉原1.5%
(他:250)12.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
または反対に、大変なかのよかった夫婦が飢饉ききんのときに、平生の愛を忘れて、妻の食うべきかゆを夫が奪って食うと云う事を小説にかく。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
警察では、その女をしばらく待たして置いてから、なかで太田が志は有難いが、考える処あってもらえないと云っているから持って帰れと云った。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
歸路かへり眞闇まつくらしげつたもりなかとほときぼくんなことおもひながらるいた
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それにしても、おなかのすき方はあまりひどいし、全くどうしていいやら分らないので、彼はまた大きな声で、その上たいへん悲しそうに唸りました。
旦那だんな、またいらしったの。わたし一人のときにこんなところへいらしったりしちゃあ、みなに痛くもないおなかを探られて、わたし困るわよ」
宝石の序曲 (新字新仮名) / 松本泰(著)
——ものの利害はそんなところ相伴あいともな相償あいつぐなっているというものだ——と二人はおなかの中で思い合って歩いて居るのだ。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
自分はなかば風に吹き寄せられた厚い窓掛の、じとじとに湿しめったのを片方へがらりと引いた。途端とたんに母の寝返りを打つ音が聞こえた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ちかづいてると艇中ていちうには一個いつこ人影ひとかげもなく、海水かいすいていなかばを滿みたしてるが
車に乗った天女に抱かれて、多人数たにんずに囲まれてかよった時、庚申堂こうしんどうわきはんの木で、なかば姿をかくして
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なかちょう遊客うかれおにらみつけられるからすも昔は海辺うみばた四五町の漁師町でわずかに活計くらしを立てていた。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
あるごろからなかのいい三にんは、つれあって、ちの田川先生たがわせんせいをおたずねしたのであります。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
一處いつしよになつて走廻はしりまわつてうちに、いつかなかがよくなつて、夕刻ゆふこくいへかへつたとき
「身は是れ菩提樹ぼだいじゅ、心は明鏡台めいけいだいの如し。時々に勤めて払拭ほっしきせよ。塵埃じんあいかしむることなかれ」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
と一足出てまたつぶやいたが、フト今度は、反対に、人をいましむる山伏の声に聞えた。なかれ、彼は鬼なり、我に与えし予言にあらずや。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
詩人よ、なんぢ感ずるがまゝに歌ひ、見るがまゝに説き、思ふがまゝに語れ。爾が心の奥を開きて隠すことなかれ。爾が成功の秘密は斯の如きのみ。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
「ああ——」とお房は返事をしたが、やがて急に力を入れて、幼い頭脳あたま内部なかが破壊し尽されるまではめないかのように叫び出した。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
法水は、それを聴くと同時に、一目散に奈落へ駆けつけたが、扉際でチラリと為十郎の姿を見たかと思うと、内部なかからうめきの声が洩れてきた。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いずれ内部なか磁器せとものぐすりのかかっていようという薄鍋うすなべもろげな鉄線耳はりがねみみを右の手につままれて出で来る。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
産婆は細い硝子ガラスの管のようなものを取って、さい口のなかへ強い呼息いきをしきりに吹き込んだが、効目ききめはまるでなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
慣れない床、慣れない枕、慣れない蚊帳かやなかで、そんなに前後も知らずに深く眠られたというだけでも、おげんに取ってはめずらしかった。
ある女の生涯 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
親類の者がかわりばんこに看病に来てくれましたが、大病と云うので、何人だれも家のなかで大きな声をする者がなく、親類の者同志で顔を見あわすと
薬指の曲り (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それは文字を白く染抜いた紫の旗で、外に記念の賞を添えまして、殿下の御前おんまえ、群集の喝采かっさいなかで、大佐から賜ったのでした。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「うむ、見せえ、大智識さ五十年の香染こうぞめ袈裟けさより利益があっての、その、嫁菜の縮緬ちりめんなかで、幽霊はもう消滅だ。」
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
焼山越やけやまごえ蠎蛇うわばみの比にあらず、朝鮮蔚山うるさんの敵軍へ、大砲を打込むばかり、油の黒煙を立てるなかで、お誓を呼立つること
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あなたのやり方がまずいんですもの、深山さんとなかたがいなどしなくたってよかったのに……。」と、女は笹村の一刻なのに飽き足りなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
次第に黒くなりまさるうるしの如き公園の樹立こだちなかに言ふべからざる森厳しんげんの趣を呈し候、いまにも雨降り候やうなれば
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
植民地には人間の贋物にせものが多いやうに、骨董物にもいかさまな物が少くない。そんななかを掻き捜すやうにして馬越氏は二つ三つの掘出し物をした。
一と月ほど前に、吉原なかねんがあけて、この二、三軒先の付木屋つけぎやの息子といっしょになったばかりの、これでも花恥ずかしい花嫁さま。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
現今いまの金に算して幾両の金数きんすは安く見えはするが、百文あれば蕎麦そばが食えて洗湯にはいれて吉原なかへゆけたという。
吉原なかで大尽遊びをして来たと景気のいい嘘言うそを吐こうと思った勘次は、これでいささか出鼻を挫かれた形で逡巡たじたじとなった。
川内せんだい』『那珂なか』『阿武隈あぶくま』——そんな五千トンぐらいの軽巡洋艦が、見はり役になって、紅玉島の近くまで出かけている。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
いいにくそうに伝兵衛がいうと、お那珂なかは、畳へ手をついて、何かいうつもりなのが、そのまま、泣きじゃくって、してしまった。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父は六歳になった筆者を背中に乗せて水泳を試み、那珂なか川の洲口すぐちを泳ぎ渡って向うの石の突堤に取着き、直ぐに引返して又モトの砂浜に上った。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
オヤ葦男さん。今日は大そうおそかったネ。おっかさまの御命日で。お茶の御ぜんをいたから。おなかがへったら。おむすびにでもしてあげようか。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
それくらいなこと誰でも分りきっていることのようで、実はなかなか琵琶の横木ほども、おなかに据えていられないのが人間でございますまいか。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう思っておりましたが、善くは思いませんばかりでも、おなかのことを嗅ぎつけられて、変な杖でのろわれたら、どんな目に逢おうも知れぬと
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかはあれ、汝己が翼を動かし、進むと思ひつゝ或ひは退しりぞなからんため、祈りによりて、恩惠めぐみを受ること肝要なり 一四五—一四七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
わたしは平生文学を志すものに向って西洋紙と万年筆とを用うることなかれと説くのは、廃物利用の法を知らしむる老婆心に他ならぬのである。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一、俳句をものせんと思はば思ふままをものすべし。巧を求むるなかれ、せつおおふ莫れ、他人に恥かしがる莫れ。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
これぞ天の助くるところと、甚内は突嗟とっさに思案を決めると、パッと雨戸へ飛びかかり、引きあける間ももどかしく家内なかへはいって戸を立てた。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三次が、大声を揚げて呶鳴り散らしていると、おもての戸が開け放しになっていて、家内なかが見える。通りかかった人がふとのぞき込んで、
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ではマアちょっと家内なかへはいり、少しお休みなさりませ。ぬくもったら直るでござりましょう」つい勧めたものである。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
田舎から出て来てからは、磯野も比較的落ち着いて勉強していたし、お増の事件さえなければ二人の交情なかは何のこともなく続けられたかも知れなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
こう云うたかて、多一さんと貴女あんたとは、前世から約束したほど、深い交情なかでおいでる様子。今更ではあるまいけれど、私とは不思議な御縁やな。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小畑おばたというのと、桜井というのと、小島というのと——ことに小畑とはかれも郁治も人並みすぐれて交情なかがよかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
村役場と駐在所が中央なか程に向合つてゐて、役場の隣が作右衞門店、萬荒物から酢醤油石油莨、罎詰の酒もあれば、前掛半襟にする布帛もある。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
村役場と駐在所が中央なか程に向合つてゐて、役場の隣が作右衛門店、よろづ荒物から酢醤油石油たばこ、罎詰の酒もあれば、前掛半襟にする布帛きれもある。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
目をつぶって腕組みした白髪童顔の玄鶯院を中央なかに、十五、六の人影が、有明ありあけ行燈の灯をはさんで静まり返っていた。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それならそれで、万歳だ。朝子は思いつづけた。自分は、そして、自分の生存の尖端は、その焔のなかにあって我が生の歌を一つうたおう。
一本の花 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
しばらくすると、女はなかば真顔になり、きみわるそうに微笑わらいをふくんで、わたしの目を覗き込んだ。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
露月は親しい片里の前で、先ず卯月うづきなかばごろ、池水あおくして緑あざやかなる不忍池畔でのめぐり合いを語り、それがえにしとなって、お互に訪問たずねかわすようになり
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「徳寿さん。寒いね。べらぼうに降るじゃあねえか。おまえにゃあなかで二、三度厄介になったことがあったっけ。それ、このあいだも近江屋の二階でよ」
半七捕物帳:09 春の雪解 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お才の名は、それからまもなく、桐佐きりさのたそや行燈あんどんから隠れて、なかの馴染みな人を相手に、薗八節そのはちぶしの女師匠と変った。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上杉家の国家老、千坂兵部ちさかひょうぶは、茶屋の若主人や、なかから送ってきた女たちの小提灯こぢょうちんにかこまれて、ひょろりと、手拍子に、
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、いった闇太郎、室内なかにはいって火鉢を掻きたてて、付木に火をうつすと、すぐに行灯あんどんがともされた。ぱあっと上りはなの一間があかるくなる。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
と……玄心斎が、蔵のまえにつづくあんどん部屋の前を通りかかると、室内なかから、男とおんなの低い話し声がする。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しかも、それと反対に、室内なかの様子をうかがっている私の眼と耳とは一時に、氷を浴びたように冴えかえった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「松島さん、そんな旧傷ふるきずの洗濯は御勘弁を願ひます、まんざら御迷惑の掛け放しと云ふ次第でもなかつた様でわすから」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
かくてかの密室より、お藤を助けいだしつつ、かたのごとく老婆を縛りてまた雑具部屋へ引取りしを、知る者絶えてなかりけり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それもこれも承知せぬではなかろうが若い人の癖とてあのおたつに心をうばわれ、しかも取残されたうらみはなく
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
グアルテロッティもイムポルトゥーニも既に榮えき、もし彼等に新なる隣人となりびとなかりせば、ボルゴは今愈〻よ靜なりしならむ 一三三—一三五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
松田氏の精確なる記性と明快なる論断とがなかつたなら、わたくしは或は一堆の故紙に性命をき入るゝことを得なかつたかも知れない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かの大いなる僧(禍ひ彼にあれ)なかつせばわれこの思ひの成れるを疑はず、されば請ふ事の次第と濫觴おこりとをきけ 七〇—七二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「少し凉し過ぎるが、良い日和ぢやありませんか。これから直ぐ正燈寺へのして、刷毛序はけついで仲町なかを覗きたいくらゐのもので」
仲町なかですよ、少し遠いけれど、泊めてやりゃいいと、御新造様の知合いの家の芸者衆で、何んでも巴家とか言いましたが——」
「そんなものを相手にやしませんよ。あつしの相方は入山形に二つ星とまでは行かないが、仲町なかでも名の通つた——」
ともかく君が何んといってもあの人が話していた『竜の玉』ってのを一目見ないうちは帰らないつもりよ。さ、早く鞄を持ちたまえ、屋内なかへ入りましょう。
この頃館の裏口では、頼母と主馬之進とが不安そうに、破壊された戸口から屋内なかを覗きながら、聞こえてくる物音に耳を澄ましていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぶらりと扇屋の表に立つて、軒行燈の影に身を寄せ乍ら、屋内なかの様子をのぞいて見ると、何か斯う取込んだことでも有るかのやうに人々が出たり入つたりして居る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
れは今朝けさからさがしてるけれど何處どこゆつたかふでやへもないとふ、廓内なかだらうかなとへば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「中屋貫三郎の請出した誰袖たがそで華魁なんかは豪勢ですぜ、千兩箱を杉なりに積んで請け出し、廓内なかから馬喰町四丁目まで、八文字を踏んで乘込んだ」
「その誰袖華魁といふのは、一頃廓内なかで鳴らしましたよ。昔の高尾、揚卷も、あれほどではあるまいといふ全盛で、誰袖が引いたら、二丁町は闇になるだらうと言はれた位」
その時は、何の気もなしに傍観していた二人の情交なかや心持が、お島にはいくらか解るように思えて来たが、どこが好くて、あの女がそんなに男のために苦労したかがいぶかられた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ハア、お一人は静岡しづをか知事ちじをなすツた関口せきぐちさん、お一人は御料局長ごれうきよくちやう肥田ひださんで、お情交なかいもんだから、何時いつでも御一緒ごいつしよで。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
その情婦おんなのところへ、浅井はお柳のいたころの自分にしたように、株券や貴重な書類の入った手提げ金庫などを運んでいることが知れてから、二人の情交なかのだんだん深みへ入っていることが、お増に解って来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
心ならずもあきないをしまい夕方帰かえって留守中の容子ようすを聞くと、いつつくように泣児なくこが、一日一回もなかぬといわ
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
なかんでもえ、最早もう乃父おれも問わんから、サア奥へ帰るがえ、』とやさしく言ったその言葉は少ないが、慈愛にみちて居たのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
武は余りビツクリしてなくにもなかれず、これから泣くのも、少くきまりがわるいといふところで、
鼻で鱒を釣つた話(実事) (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
「どんな連中もこんな連中もねえ、その時分の大部屋のものは内密ないしょでみんな稼いだんだ。——そのまた中間なかへ入ってサヤをとる奴なんぞいたんだ。」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
ひとりいふ、クリストの受難の時は、月退しざりて中間なかへだてしため、日の光地に達せざりきと 九七—九九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
中間なかはいつてした所業しわざ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
観化流、鎧通よろいどうしの一手、鎧の隙間すきまを通して、内容なかの身体を斬りさばくという、あれだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ヘエ。どうぞ。まあ内容なかを御覧なすって……私どもにはトテも読めない、お家様で御座います」
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
おもては菓子折りでも、内容なかは小判がザクザク……愚楽の口ひとつで日光をのがれようというので、こっそり届けたのが、こうしておおっぴらに、しかも、一座のまえで、みんなそのまま突っ返されたのだから、オヤオヤオヤの鉢あわせ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
——しかるにもかかわらず、迷いは、その叔母さんに俥賃を強請ゆすって北廓なかへ飛んだ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
北廓なかの事情に詳しい人や、寄席仕込みの芸人などもあった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ほんのこったがわっしゃそれご存じのとおり、北廓なかを三年が間、金毘羅こんぴら様にったというもんだ。ところが、なんのこたあない。はだ守りを懸けて、夜中に土堤どてを通ろうじゃあないか。罰のあたらないのが不思議さね。
外科室 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
阿波のみつはのめの社も、那賀なか郡のわなさおほその神社の存在を考えに入れてみると、ひぬま真名井式の物語があったろう。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
当時人麿は石見の国府(今の那賀なか下府上府しもこうかみこう)にいたもののようである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ヒガンボウズ 同 那賀なか鹿足かのあし