なか)” の例文
阿仙おせんは一子の名なかすなの一語之が養育に心を用いん事を望むの意至れり、うまこやせの一句造次顛沛ぞうじてんぱいにも武を忘れざる勇士の志操こゝろづけ十分に見ゆ
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
なかんでもえ、最早もう乃父おれも問わんから、サア奥へ帰るがえ、』とやさしく言ったその言葉は少ないが、慈愛にみちて居たのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
みねなかかせし今朝けさとはかはりてちゝかほいろいかにとばかり、折々をり/\やる尻目しりめおそろし、ちゝしづかに金庫きんこちしがやがて五十ゑんたば一つて、これは貴樣きさまるではなし
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
武は余りビツクリしてなくにもなかれず、これから泣くのも、少くきまりがわるいといふところ
鼻で鱒を釣つた話(実事) (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
心ならずもあきないをしまい夕方帰かえって留守中の容子ようすを聞くと、いつつくように泣児なくこが、一日一回もなかぬといわれ、不審ながらもよろこんで、それからもその通りにして毎日、あきないに出向でむくなにとても
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
然れどもわれはむしろ十返舎の為になかざるを得ざる悲痛あり、彼の如き豪逸なる資性を以て、彼の如きゼヌインのウイットを以て、而して彼の如くに無無無の陋巷ろうかうに迷ひ、無無無の奇語を吐き
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
淑女巨人と一堂につどい思想を交換し事業をかくするは今汝の及ばざる所、しかれどももし汝にして四十八文字もんじを解するを得ば、聖書なる世界文学の汝とともにあるなり、以て汝をはげまし汝をなかしむべし
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
入替いれかへ急度きつと辛抱しんばうする程にとなかぬばかりにわびければ久八も漸々やう/\おもて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
蓋原文は言語ことばに近く訳文は言語ことばに遠ければなり、又本多作左が旅中家に送りし文に曰く「一ぴつもうす火の用心ようじん阿仙おせんなかすな、うまこやせ」と火をいましむるは家をまもる第一緊要的きんようてきの事
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)