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内
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なか
ふりがな文庫
“
内
(
なか
)” の例文
その入口らしい処にはただ粗末な二本の
杙
(
くい
)
が建っているばかりで
内
(
なか
)
の様子を覗いたけれど、ただ一人の
土方等
(
どかたら
)
の姿すら見えなかった。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
成程
左様
(
さう
)
言はれて見ると、
少許
(
すこし
)
も人を
懼
(
おそ
)
れない。
白昼
(
ひるま
)
ですら出て
遊
(
あす
)
んで居る。はゝゝゝゝ、寺の
内
(
なか
)
の
光景
(
けしき
)
は違つたものだと思つたよ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
私達は
内
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
りました。小屋の中には上品な
老
(
とし
)
寄りの土人が居りましたが、私達を見ると立ち上り、機嫌よく迎えてくれました。
沙漠の歌:スタンレー探検日記
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
寝所のすぐ前の
築山
(
つきやま
)
の
木立
(
こだち
)
の陰に入って、じっと木立の
内
(
なか
)
の暗い処を見廻わしたが別に異状もないので、そこにあった岩へ腰をかけた。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
冬の寒い時であったにも拘らず、家の
内
(
なか
)
は愉快でした。暖炉には火がかんかん燃えていて、
室
(
へや
)
には暖かい幸福と優しさが溢れていました。
誤診
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
▼ もっと見る
内
(
なか
)
からは張子の虎が一匹現れた。可なり大きい。頻りに首を振っている。近辺の旅客の注意は忽ちこの異様な携帯品に集まった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
津田の
明
(
あく
)
る
朝
(
あさ
)
眼を
覚
(
さ
)
ましたのはいつもよりずっと遅かった。家の
内
(
なか
)
はもう
一片付
(
ひとかたづき
)
かたづいた後のようにひっそり
閑
(
かん
)
としていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
われても
嘘
(
うそ
)
とは云いません。しかし家の
内
(
なか
)
では実に私は一平の
召使
(
めしつかい
)
のような働きをする時がいくらもあるのですから。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
中沢博士は「ははは……」と言つて、あんぐり口を
開
(
あ
)
けて笑つたばかしで、別に
描
(
か
)
くとも
描
(
か
)
かないとも
判然
(
はつきり
)
返事をしなかつたが、腹の
内
(
なか
)
では
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
すみ子は引戸をあけて
内
(
なか
)
に入り、室の番号をしるした下駄箱に草履をしまうので、種田も同じように履物を取り上げると
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それで私は
想当
(
おもいあた
)
ってる事があるから
昨日
(
きのう
)
お源さんの留守に障子の
破目
(
やぶれめ
)
から
内
(
なか
)
をちょいと
覗
(
のぞ
)
いて見たので御座いますよ。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
院長
(
ゐんちやう
)
のアンドレイ、エヒミチは
玄關
(
げんくわん
)
の
間
(
ま
)
から
病室
(
びやうしつ
)
の
内
(
なか
)
を
覗込
(
のぞきこ
)
んで、
物柔
(
ものやは
)
らかに
問
(
と
)
ふので
有
(
あ
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ぐづ/\してゐる氣になれず、とても我慢出來ない程胸が一杯になつてゐた私は——精神的にも肉體的にも鋭い痛みを感じてぶる/\震へながら——
扉
(
ドア
)
を
内
(
なか
)
へ押して
覗
(
のぞ
)
きこんだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
は
暗
(
くら
)
い
室
(
しつ
)
の
内
(
なか
)
でどうしてこんな
繪
(
え
)
を
描
(
か
)
いたのでせうか。おそらく
燈火
(
とうか
)
を
用
(
もち
)
ひたとすれば
動物
(
どうぶつ
)
の
脂肪
(
あぶら
)
をとぼしたことゝ
思
(
おも
)
はれます。この
洞穴
(
ほらあな
)
の
繪
(
え
)
を
發見
(
はつけん
)
したのに
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
があります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
まア
此寒
(
このさむ
)
いのに
可愛
(
かあい
)
い手で足を
撫
(
なで
)
てゝ
遣
(
や
)
るところは
何
(
ど
)
うだえ、……
可愛想
(
かあいさう
)
だなー、……
彼
(
あ
)
の
残余
(
あま
)
つた
料理
(
もの
)
があつたツけ……
賓客
(
きやく
)
の
残
(
のこ
)
した
料理
(
もの
)
が
皿
(
さら
)
の
内
(
なか
)
に取つてあるだらう、……アーそれさ
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼
(
かれ
)
は
膝
(
ひざ
)
がしらで
四
(
よ
)
つ
偃
(
ばひ
)
に
歩
(
ある
)
きながら
座敷
(
ざしき
)
へあがつて
財布
(
さいふ
)
を
懷
(
ふところ
)
へ
捩
(
ね
)
ぢ
込
(
こ
)
んでふいと
出
(
で
)
た。
彼
(
かれ
)
は
風呂敷包
(
ふろしきづゝみ
)
を
持
(
も
)
つて
歸
(
かへ
)
つた。
彼
(
かれ
)
が
戸口
(
とぐち
)
に
立
(
た
)
つた
時
(
とき
)
は
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
は
眞闇
(
まつくら
)
で
一寸
(
ちよつと
)
は
物
(
もの
)
の
見分
(
みわけ
)
もつかなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と、お前が眼を
覚
(
さ
)
まして
内
(
なか
)
から忍ぶように
低声
(
こごえ
)
で合図をしてくれた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
三軒が皆
行
(
ゆ
)
き
通
(
とお
)
しのようになっていて、その
中央
(
なか
)
の家の、
立腐
(
たちぐさ
)
れになってる畳の上に、木の
朽
(
く
)
ちた、
如何
(
いか
)
にも怪し気な
長持
(
ながもち
)
が二つ置いてある、
蓋
(
ふた
)
は開けたなりなので、気味
悪
(
わ
)
る
悪
(
わ
)
る
内
(
なか
)
を
覘
(
のぞ
)
いて見ると
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
さ緑のキヤベツの
球葉
(
たまば
)
いく
層
(
かさね
)
光る
内
(
なか
)
より
弾
(
はぢ
)
けたりけり
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
民弥は、思出したように、
室
(
へや
)
の
内
(
なか
)
を
眗
(
みまわ
)
しながら
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さてこの頃宗三郎とお絹は、宗春と浜路の籠っている、その岩部屋の左手の戸口、その外側に立ち
縮
(
すく
)
みながら、
内
(
なか
)
の様子を窺っていた。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「お
母
(
かあ
)
さん、きゅうりがあんなに
大
(
おお
)
きくなりましたよ。」と、
二郎
(
じろう
)
は、
外
(
そと
)
から
家
(
いえ
)
の
内
(
なか
)
に
入
(
はい
)
ると、
毎日
(
まいにち
)
のように
母親
(
ははおや
)
に
告
(
つ
)
げました。
遠くで鳴る雷
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
岡の地勢を成した牧場の
内
(
なか
)
の樹木から遠景に見えるリモオジュの町々、古い寺院の塔などが牧野の画の中に取入れられてあった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
門前で自動車を乗り捨てたのは病人への遠慮、見舞い品を運転手に持たせて表玄関へ近づくと、
内
(
なか
)
から障子が明いて松浦さん自らが現れた。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「まアお珍しいじゃありませんか。ちょいと
今戸
(
いまど
)
の
御師匠
(
おししょう
)
さんですよ。」と
開
(
あ
)
けたままの格子戸から
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
へと知らせる。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
産婆
(
さんば
)
は
細
(
ほそ
)
い
硝子
(
がらす
)
の
管
(
くだ
)
の
樣
(
やう
)
なものを
取
(
と
)
つて、
小
(
ち
)
さい
口
(
くち
)
の
内
(
なか
)
へ
強
(
つよ
)
い
呼息
(
いき
)
をしきりに
吹
(
ふ
)
き
込
(
こ
)
んだが、
効目
(
きゝめ
)
は
丸
(
まる
)
でなかつた。
生
(
うま
)
れたものは
肉丈
(
にくだけ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして檻の
内
(
なか
)
から手を伸ばして娘の肩を撫でた。娘は嬉しさうにきやつ/\
軽躁
(
はしや
)
ぎながら色々な事を猩々に話しかけた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大病と云うので、
何人
(
だれ
)
も家の
内
(
なか
)
で大きな声をする者がなく、親類の者同志で顔を見あわすと、何か黒い重い物が
眼前
(
めさき
)
に浮んでいるような顔をしました。
薬指の曲り
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
院長
(
いんちょう
)
のアンドレイ、エヒミチは
玄関
(
げんかん
)
の
間
(
ま
)
から
病室
(
びょうしつ
)
の
内
(
なか
)
を
覗込
(
のぞきこ
)
んで、
物柔
(
ものやわ
)
らかに
問
(
と
)
うのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其処
(
そこ
)
で真蔵はお清の居る
部屋
(
へや
)
の障子を開けると、
内
(
なか
)
ではお清がせっせと針仕事をしている。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と、一瞬間ざわめいた
室
(
へや
)
の
内
(
なか
)
は、すぐにまた
静寂
(
ひっそり
)
となった。時計のチクタクもちょっと息どまったが、又も
忙
(
せわ
)
しげに無限の彼方に向って、例の小エゴイストの小刻みな歩みをつづけて行った。
孤独
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
向う
脛
(
ずね
)
ぶっぱらえなんかと仰しゃるお
気早
(
きばや
)
な方もございますが、正直に申すとまア
左様
(
そう
)
言ったようなもので、
扨
(
さ
)
て
門外
(
おもて
)
にたちました一中節の門付屋さんでげすが、
頻
(
しき
)
りに
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
をのぞいて居ります。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
慣れない床、慣れない枕、慣れない
蚊帳
(
かや
)
の
内
(
なか
)
で、そんなに前後も知らずに深く眠られたというだけでも、おげんに取ってはめずらしかった。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし、いつになく、
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
が、しんとしていましたから、どうしたのだろうかと
思
(
おも
)
ったのでした。そこへ
正
(
しょう
)
ちゃんのお
母
(
かあ
)
さんは
顔
(
かお
)
を
出
(
だ
)
して
幼き日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
で、紋太夫は元気よく、しかし充分用心して
窟
(
いわや
)
の
内
(
なか
)
へはいって行った。道が一筋通じている。その道をズンズン歩いて行く。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「その折、手洗の傍に
袱紗包
(
ふくさづつみ
)
が落ちていた。拾って見ると、
内
(
なか
)
が紙入のようだったから、交番へ届けたら、『
一寸
(
ちょっと
)
来い』と警察へ引っ張られた」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「まアお
珍
(
めづら
)
しいぢやありませんか。ちよいと
今戸
(
いまど
)
の
御師匠
(
おししやう
)
さんですよ。」と
開
(
あ
)
けたまゝの
格子戸
(
かうしど
)
から
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
へと知らせる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
産婆は細い
硝子
(
ガラス
)
の管のようなものを取って、
小
(
ち
)
さい口の
内
(
なか
)
へ強い
呼息
(
いき
)
をしきりに吹き込んだが、
効目
(
ききめ
)
はまるでなかった。生れたものは肉だけであった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
親類では夕飯の時刻だからと云って引留めようとしたが、許宣は家の外に幸福が待っているような気がして、家の
内
(
なか
)
に置かれるのが
厭
(
いや
)
だから、強いて傘ばかり借りて外へ出た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
すると、
内
(
なか
)
から「どなた?」といふ声がして、
扉
(
と
)
は静かに開けられた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
路
(
みち
)
は野原の
薄
(
すすき
)
を分けてやや
爪先上
(
つまさきあがり
)
の処まで来ると、ちらと自分の眼に映ったのは草の間から現われている紙包。自分は
駈
(
か
)
け寄って拾いあげて見ると
内
(
なか
)
に百円束が
一個
(
ひとつ
)
。自分は
狼狽
(
あわて
)
て
懐中
(
ふところ
)
にねじこんだ。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
屋
(
うち
)
の
内
(
なか
)
で飼はれて居た獣は、ある時は少年時代の友達のやうに、ある時は極く無気味なものゝやうに、私の
眼前
(
めのまへ
)
をよく往つたり来たりした。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
このとき、
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
では、こたつにあたりながら、
年子
(
としこ
)
は、
先生
(
せんせい
)
のお
母
(
かあ
)
さんと、
弟
(
おとうと
)
の
勇
(
いさむ
)
ちゃんと、三
人
(
にん
)
で、いろいろお
話
(
はなし
)
にふけっていたのでした。
青い星の国へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
内
(
なか
)
には
主人
(
あるじ
)
の
宗匠
(
そうしょう
)
が
万年青
(
おもと
)
の鉢を並べた
縁先
(
えんさき
)
へ小机を据え
頻
(
しきり
)
に
天地人
(
てんちじん
)
の順序をつける
俳諧
(
はいかい
)
の
選
(
せん
)
に急がしい処であった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私はKもお嬢さんもいなくなって、家の
内
(
なか
)
がひっそり静まった頃を
見計
(
みはか
)
らって寝床を出ました。私の顔を見た奥さんは、すぐどこが悪いかと尋ねました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「噂によれば南蛮寺には、大変もない値打ちのあるものが、貯えられているということだが、どうぞして
内
(
なか
)
へ忍び込み、そいつをこっちへ奪いたいものだ」
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『それじゃ村岡君は
最早
(
もう
)
寝たろうね?』と受け流す。外で待っているんだから
内
(
なか
)
に寝ている筈はない。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
小供等は怖くなって家の
内
(
なか
)
へ入った。
白い花赤い茎
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「いくらでも、
其樣
(
そん
)
な警句の材料にするが可いサ。」斯うA君も苦笑して、痩せた足に大きな足袋で、部屋の
内
(
なか
)
を歩いて見た。
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
年
(
とし
)
ちゃんは、しまいには、ごろりと
畳
(
たたみ
)
の
上
(
うえ
)
へ
寝
(
ね
)
ころんで、びんの
内
(
なか
)
で
風船虫
(
ふうせんむし
)
の
体
(
からだ
)
が、ぴかぴかと
輝
(
かがや
)
くのを
見
(
み
)
ていました。
風船虫
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
“内”を含む語句
家内
室内
河内
内儀
垣内
内室
内部
案内
内外
案内者
水先案内
家内中
川内
殿内
境内
内証
内密
構内
廓内
内海
...