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勿
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なか
ふりがな文庫
“
勿
(
なか
)” の例文
しかるに何んぞ対等の礼を執ったる国書を持来たすとは! そこで「これより後蛮夷の礼を失するものあらば、
之
(
これ
)
を奏聞すること
勿
(
なか
)
れ」
日本上古の硬外交
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
われを君が
仇
(
あだ
)
と
思
(
おぼ
)
し給ふ
勿
(
なか
)
れ、われは君のいづこに
在
(
いま
)
すかを
辨
(
わきま
)
へず、また見ず、また知らず、
唯
(
たゞ
)
この涙に
暮
(
く
)
るゝ
面
(
おもて
)
を君の方に向けたり。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
分割して私地となし、百姓に売与して年々にその
価
(
あたい
)
を
索
(
もと
)
む。今より後、地を売ることを得じ。
妄
(
みだ
)
りに主となつて劣弱を兼併すること
勿
(
なか
)
れ
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
種々の点に於ても彼は種々の欠点を見出さるゝなるべしと雖も怪しむ
勿
(
なか
)
れ、彼は多く学問し多く詮索するの機会を有せざりしなり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
何をどう書き飛ばすにせよ、さうは註文に応じ難ければ、思ひつきたること二三を
記
(
しる
)
してやむべし。幸ひに
孟浪
(
まんらん
)
を
咎
(
とが
)
むること
勿
(
なか
)
れ。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
ドンナ・ベルタもセル・マルティーノも、
一人
(
ひとり
)
盜み一人物を
獻
(
さゝ
)
ぐるを見て、神の
審判
(
さばき
)
かれらにあらはると思ふ
勿
(
なか
)
れ 一三九—一四一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
既にかく鎖国と決する上は、和の一字は、
永劫
(
えいごう
)
未来、御用部屋に封禁して、再び口外する
勿
(
なか
)
れ。満坐の方も果してその覚悟あるや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
支那
(
しな
)
帝使を
西班牙
(
スペイン
)
帝使の
下
(
しも
)
に座せしめ、
吾
(
わが
)
児
(
こ
)
たり友たる
西帝
(
せいてい
)
の使を、賊たり無頼の徒たる支那帝の
使
(
し
)
の下に
坐
(
ざ
)
せしむる
勿
(
なか
)
れと
云
(
い
)
いしと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
父の正義のしもとにぞ
涜
(
けが
)
れし心ひれ伏さむ 母の慈愛の涙にぞ 罪のゆるしを求め泣く
御神
(
みかみ
)
よ我を
逐
(
お
)
ふ
勿
(
なか
)
れ 神よ
汝
(
な
)
が子を逐ふ勿れ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
行く行くは親兄弟をも養はねばならぬやうなる
不仕合
(
ふしあわせ
)
の人は
縦
(
たと
)
へ天才ありと自信するも断じて専門の小説家なぞにならんと思ふこと
勿
(
なか
)
れ。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
諸君よ、諸君は彼等の口の余りに大なるを以て無数の
蛙群
(
あぐん
)
なりと誤る
勿
(
なか
)
れ。彼等は
乃
(
すなは
)
ち口をあいて茫然自失せる十五億の
蒼生
(
さうせい
)
にてある也。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と一足出てまた
呟
(
つぶや
)
いたが、フト今度は、反対に、人を
警
(
いまし
)
むる山伏の声に聞えた。
勿
(
なか
)
れ、彼は鬼なり、我に与えし予言にあらずや。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
凡
(
およ
)
そ人事を
区処
(
くしょ
)
する、
当
(
まさ
)
に
先
(
ま
)
ずその結局を
慮
(
おもんぱか
)
り、
而
(
しか
)
して後に手を下すべし、
楫
(
かじ
)
無
(
な
)
きの舟を
行
(
や
)
る
勿
(
なか
)
れ、
的
(
まと
)
無
(
な
)
きの
箭
(
や
)
を発する
勿
(
なか
)
れ」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
〔譯〕
游惰
(
いうだ
)
を
認
(
みと
)
めて以て
寛裕
(
かんゆう
)
と爲すこと
勿
(
なか
)
れ。
嚴刻
(
げんこく
)
を認めて以て
直諒
(
ちよくりやう
)
と爲すこと勿れ。
私欲
(
しよく
)
を認めて以て
志願
(
しぐわん
)
と爲すこと勿れ。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
お
絹
(
きぬ
)
とは
何人
(
なんぴと
)
ぞ、
君
(
きみ
)
驚
(
おどろ
)
く
勿
(
なか
)
れ、
藝者
(
げいしや
)
でも
女郎
(
ぢよらう
)
でもない、
海老茶
(
えびちや
)
式部
(
しきぶ
)
でも
島田
(
しまだ
)
の
令孃
(
れいぢやう
)
でもない、
美人
(
びじん
)
でもない、
醜婦
(
しうふ
)
でもない、たゞの
女
(
をんな
)
である
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
迷妄
(
めいもう
)
やまず罪禍にまみれようとも、むしろそれを縁として、本来具有する仏性を自覚することに一大事因縁がある。——何事も
畏怖
(
いふ
)
する
勿
(
なか
)
れ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
既に
瞹眛派
(
あいまいは
)
にあらざるなり、凡そ生命を知るものは、既に高蹈派にあらざるなり、危言流行の今日、世人自から惑ふこと
勿
(
なか
)
らんことを願ふなり。
内部生命論
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
東路
(
あずまじ
)
の道の果てなる
常陸帯
(
ひたちおび
)
をたぐりつくして、さてこれより北は
胡沙
(
こさ
)
吹くところ、
瘴癘
(
しょうれい
)
の気あって人を
傷
(
いた
)
ましめるが故に来る
勿
(
なか
)
れの標示を見て
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だが誤解する
勿
(
なか
)
れ、著者は民衆に
諂
(
へつ
)
らうところの民衆主義者でなく、逆に彼等を
罵倒
(
ばとう
)
し、軽蔑するところの民衆主義者だ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
幸福とは? 審判する
勿
(
なか
)
れ。ナポリを見てから死ね! 等々。仲間はかならず二十代の美青年たるべきこと。一芸に於いて秀抜の技倆を有すること。
ダス・ゲマイネ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
肉の世の広きに恐るる事
勿
(
なか
)
れ。一度恐れざれば汝らは神の恩恵によりて心の眼さとく生れたるものなることを
覚
(
さと
)
るべし
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
己
(
おのれ
)
の欲せざる所人に施す
勿
(
なか
)
れという格言も、もし同情という動機がなかったならば、我々に対して殆ど無意義である。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
今の家庭問題に注意する人々に告ぐ、自分は自分だけの家庭を作れ、決して家庭読物などの談に心を奪わるる
勿
(
なか
)
れ。
家庭小言
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「敵を愛さなければいけません。『悪に敵すること
勿
(
なか
)
れ。人、汝の右の頬を打たば、又他の頬をも
繞
(
めぐ
)
らしてこれに向けよ』と
基督
(
キリスト
)
は教えていられます」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
家系の尊厳を
冒涜
(
ぼうとく
)
すると怒る
勿
(
なか
)
れ、演者の遠い知人に天智天皇このかた一代の欠もなく連綿百二十代にわたるところの完全なる系図を所有する者もあり
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
妻が夫を天とすれば、夫は妻を以て神とす可し。夫に逆いて天罰を受く可らずと言えば、妻を虐待して神罰を
被
(
こうむ
)
る
勿
(
なか
)
れと、我輩は言わんと欲する者なり。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
劇烈
欝勃
(
うつぼつ
)
の行為を描き、其主人公は
概
(
おほむ
)
ね薄志弱行なりし故に、メルクは彼を
誡
(
いまし
)
めて
曰
(
いは
)
く、
此
(
かく
)
の如き精気なく誠心なき
汚穢
(
をわい
)
なる愚物は将来決ツして写す
勿
(
なか
)
れ
舞姫
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
彼らを仇と狙いて、御身の一生を誤ること
勿
(
なか
)
れ。
至嘱
(
ししょく
)
至嘱。余の命数尽きたりといえども、静かに天命を待たずして自殺するは、御身に対する我が微衷なり。
仇討禁止令
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
先主の
垂訓
(
すいくん
)
にも、わが家は分を守るを
一義
(
いちぎ
)
とし、天下をのぞむ
勿
(
なか
)
れと
戒
(
いまし
)
められておられる。いかに富強でも中国は辺土に過ぎず、中央を
占
(
し
)
むる利は持たない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一つはカーの「三つの棺」の「密室講義」の章、もう一つはクレイトン・ロースンの「シルクハットから飛び出す死」(未訳)の「質問する
勿
(
なか
)
れ」の章である。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
先づ大丈夫と思つた。書く、書く、と心に誓つた。ズウデルマンは、「芸術家よ、
画
(
ゑが
)
け、語る
勿
(
なか
)
れ。」と云つたと聞いた。自分は
慥
(
たしか
)
に語り過ぎた。交り過ぎた。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
一生を焦躁と
憤懣
(
ふんまん
)
との中に送った伯父の遺言が、皮肉にも、
憤
(
いきどお
)
る
勿
(
なか
)
れ、となっていたのである。三造の思出すのは大抵このような意地の悪いことばかりだった。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
上首の一人 ——
粥
(
しゅく
)
に十の利あり、
飯
(
はん
)
には三
徳
(
てん
)
六
味
(
み
)
。
食
(
じき
)
を
享
(
う
)
くるもの、いやしくもこの理を忘るる
勿
(
なか
)
れ。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あはよくば事
勿
(
なか
)
れ主義で誤魔化さうとした玄龍も、口を
緘
(
つぐ
)
んで平次の意志に引摺られる外はありません。
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
碌々として生を貪る
勿
(
なか
)
れ。三十にして死すとも、千載に生きる道を考えよ、と、これ平山子龍先生の教えにして、又、拙者自ら、いささか行うたところの道である
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
が、それは
左
(
と
)
も
右
(
か
)
くもとしてこの額面の正札が、驚く
勿
(
なか
)
れ、金六十八円
也
(
なり
)
とある。イクラの前借を申込んだか知らぬが、多分この正札の額よりも少なかったろう。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
姦淫
(
かんいん
)
する
勿
(
なか
)
れ、処女を侵す勿れ、
嫂
(
あによめ
)
を盗む勿れ、その他一切の不徳はエホバの神の
誡
(
いまし
)
むるところである。バイロンの一生は到底神の
嘉納
(
よみ
)
するものとも思われない。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
御前へ
召
(
めさ
)
れ汝必ず
輕擧
(
はやま
)
る事
勿
(
なか
)
れ
未
(
いま
)
だ其者
刑罰
(
けいばつ
)
に行はざれば
再應
(
さいおう
)
取調
(
とりしら
)
べ此後
迚
(
とて
)
も
出精
(
しゆつせい
)
相勤
(
あひつと
)
むべしと上意有しかば大岡殿
御仁
(
ごじん
)
惠の御
沙汰
(
さた
)
畏
(
かしこ
)
まり
奉
(
たてま
)
つると
感涙
(
かんるゐ
)
を流され御前を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
自分らの解放せられた喜びを忘れて婦人の解放を押え、
剰
(
あまつさ
)
え昔の
五障三従
(
ごしょうさんしょう
)
や
七去説
(
しちきょせつ
)
の
縄目
(
なわめ
)
よりも更に
苛酷
(
かこく
)
な百種の
勿
(
なか
)
れ主義を以て取締ろうというのは笑うべき事である。
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「あはにな降りそ」は、諸説あるが、多く降ること
勿
(
なか
)
れというのに従っておく。「
塞
(
せき
)
なさまくに」は
塞
(
せき
)
をなさんに、
塞
(
せき
)
となるだろうからという意で、これも諸説がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「いたずらに過去を悔やむこと
勿
(
なか
)
れ。甘き未来に望みをかけるな。生きよ、励めよ、この現在に」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
見事な最期であると
褒
(
ほ
)
めているところへ、女中が銅盥を持って来て、汚れた手を洗えというと、老人は
頭
(
かしら
)
をふって「
手水
(
ちょうず
)
などが要るものか。
稽侍中
(
けいじちゅう
)
の血、洗う
勿
(
なか
)
れじゃ。」
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
之は、『十人の罪人を逸するとも、一人の
無辜
(
むこ
)
を罰する
勿
(
なか
)
れ』という精神から来ているのだ。尤も、この精神そのものが
将
(
はた
)
して正義の精神かどうか一応考えられぬ事はない。
正義
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
これは「人生婦人の身と
為
(
な
)
る
勿
(
なか
)
れ、百年の苦楽他人に
頼
(
よ
)
る」とか、女は
氏
(
うじ
)
なくして玉の
輿
(
こし
)
とかいう如き、東洋流の運命観から出た、
弱竹
(
なよたけ
)
の弱々しい頼他的根性から来たのである。
夫婦共稼ぎと女子の学問
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
だが知識に滞るなら、無知に沈むのとなんの選ぶところがあろう。真に知に活きる者は「知に止まる
勿
(
なか
)
れ」と云うであろう。知に
拘
(
こだ
)
わる者は知を知らない者と言い得るであろう。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
石堂橋を渡って電車通を東中洲、西中洲を抜けて
春吉
(
はるよし
)
へ曲り込んで、渡辺通りから郊外へ出たと思うと、驚ろく
勿
(
なか
)
れ、九州の炭坑王と呼ばれた、安島子爵家の門内に走り込んだ。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
爆発物は妾の所持品にせんといいたるに、
否
(
いな
)
拙者
(
せっしゃ
)
の所持品となさん、もし発覚せばそれまでなり、
潔
(
いさぎよ
)
く
縛
(
ばく
)
に
就
(
つ
)
かんのみ、
構
(
かま
)
えて同伴者たることを
看破
(
かんぱ
)
せらるる
勿
(
なか
)
れと古井氏はいう。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
花鳥諷詠、目標をそこに置いて年月を重ねて研究を積むことによって新しい境地はいくらでも
拓
(
ひら
)
けてくるのである。
徒
(
いたず
)
らに
左顧右眄
(
さこうべん
)
確信なき徒輩たる
勿
(
なか
)
れ。(『玉藻』、二七、一二)
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
○牛乳は何人も常に用い殊に小児を育つるに必要の物なればその質の良否は
委
(
くわ
)
しく検査せざるべからず。牛乳を用ゆる人は必ずフェーゼル氏の検乳器を用意して時々検査を怠る
勿
(
なか
)
れ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
Dogma
(
ドグマ
)
は承認しない。
勿
(
なか
)
れ
勿
(
なか
)
れの教には服せない。しかし利害の打算上から、むちゃな事はしない。女だって理性の勝っている女は同じ事でしょう。ただそんな女は少いのです。
蛇
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“勿”の解説
勿
(出典:Wikipedia)
勿
漢検準1級
部首:⼓
4画
“勿”を含む語句
勿論
勿体
勿怪
勿體
勿忘草
勿々
勿躰
勿化
事勿
勿来
勿来関
勿体至極
勿体振
勿驚
果而勿伐
阿拉勿関
勿體無
勿魯漠斯
忘勿草
果而勿不得止
...