なか)” の例文
いままで、小学校時代しょうがっこうじだいに、なかよくあそんだともだちが、それぞれうえ学校がっこうへゆくのをると、うらやましく、おかあさんにはおもわれました。
子供はばかでなかった (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおや相当そうとうたか地位ちい大宮人おおみやびとで、狭間信之はざまのぶゆき母親ははおやはたしか光代みつよ、そして雛子ひなこ夫婦ふうふなか一粒種ひとつぶだねのいとしだったのでした。
でふたりは、いいつけられた仮面めんをかぶり、あたえられた独楽こまをかたくいて、おく部屋へやに、今夜だけはなかよく寝こんでしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お姫さまはアラジンをごらんになって、アラジンとなかよくしようとお思いになりました。町じゅうはお祝いで大にぎわいでした。
そこでさっそく小槌こづちって、そこへべきれないほどのごちそうをして、おひめさまと二人ふたりなかよくべました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
二番にばんめのわがおもふどちは、おれのなかよしだといふくらゐの意味いみで、おれだつてしらみとおんなじことだ、とまるで、綿入わたいりの着物きものひめに
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
扁桃腺へんとうせんのことばかり考えていて、みんなの遊びにくるのをわすれていたのだった。れいのなかよし五人、なお話しあっているうちに
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
鷺娘さぎむすめがむやみに踊ったり、それから吉原なかちょうへ男性、中性、女性の三性が出て来て各々おのおの特色を発揮する運動をやったりするのはいいですね。
虚子君へ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
リスやウサギやウソやヤマガラやキツツキやヒバリのような、森や野にいる小さな動物たちとなかよしになるようにしなさい。
明治三十年三月十五日の暁方あけがたに、吉原なかちょうの引手茶屋桐半の裏手から出火して、廓内かくない百六十戸ほどを焼いたことがある。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その風雪ふうせつの一にぎりのつぶては、時々とき/″\のやうな欄間らんますき戸障子としやうじなかぬすつて、えぬつめたいものをハラ/\とわたし寢顏ねがほにふりかけてゆく。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
それから林太郎としろ公はすっかりなかよしになりました。しろ公はまったくの弟になったように、林太郎のいくところはどこへでもついてきました。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
南瓜かぼちや甜瓜まくはうりと、おなじはたけにそだちました。種子たねかれるのも一しよでした。それでゐてたいへんなかわるかつたのです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
藁葬こうそうという悲しくも悲しき事を取行とりおこなわせ玉わんとて、なかの兄と二人してみずから遺骸いがいきて山麓さんろくに至りたまえるに、なわ絶えて又如何いかんともするあたわず
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
水道尻の方から寝静ったくるわへ入ったので、角町へ曲るまでになかちょうを歩みすぎた時、引手茶屋ひきてぢゃやのくぐり戸から出て来た二人の芸者とすれちがいになった。
草紅葉 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
するとそこにわかい二ひき栗鼠りすが、なかよく白いおもちをたべておりましたがホモイの来たのを見ると、びっくりして立ちあがっていそいできもののえりをなお
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたしはかれに向かってマチアがいちばんなかのいい友だちであって、ずいぶん世話になっていることを話した。
巴絵さんは、岩田君の前夫人マリイさんの血をうけた岩田家の一人娘、第二の母、静子夫人との間に、いわゆるさぬなかというようなかげはどこにもみられない。
岩田夫人の死を悼む (新字新仮名) / 岸田国士(著)
昨日は今度く歌舞伎座の茶屋の二階で、「まゝしきなか」の本読みがあつたのだが、そこで彼の振られた役と云ふのは、たゞ「虎」の一役だつた。人の名ではない。
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
此處こゝがその、ひどなかちやうしき面白おもしろいのは、女房かみさんが、「なにかのお禁呪まじなひになるんだらう。」とつた。そこで、そのむすめが、うや/\しくおぼんせて、その釜敷かましきつてる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わちきほか親戚みより頼りも有りませんが、たった一人なかの兄のある事を聞いて居ましたが、若い時分道楽で、私が生れて間もなく勘当になって家出をしましたそうですが
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
くつろぎのと名づけてあるのは、一方はこの炉ばたにつづき、一方は広いなかにつづいている。吉左衛門が自分の部屋へやとして臥起ねおきをしているのもその寛ぎの間だ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
絶頂ぜつちやうなかわるかつたときは、二人ふたりともにそむそむきで、そとへいらつしやるに何處どこへとふたことければ、行先ゆくさきをいひかれることい、お留守るす他處よそからお使つかひがれば
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
われもわれもと雷同らいどうした、二年生はてんでにたい焼きをほおばって、道路をうろうろした、中学校の後ろは師範学校しはんがっこうである、由来いずれの県でも中学と師範とはなかが悪い
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
軽皇子かるのおうじには、軽大郎女かるのおおいらつめとおっしゃるたいそうなかのよいご同腹どうふくのお妹さまがおありになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
二年ほど前の秋、おなじ声優グループのなか数枝が、フラリと久美子のアパートにあらわれた。
肌色の月 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そしてみんななかよく、元氣げんきに、大勢たいぜいうたふことだ。——これを是非ぜひ約束やくそくしてもらひたい。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
一處いつしよになつて走廻はしりまわつてうちに、いつかなかがよくなつて、夕刻ゆふこくいへかへつたときも、稻妻いなづまこの可憐かれんなる少年せうねんたわむれつゝ、おもはず二階にかいまで驅上かけあがつて、武村兵曹たけむらへいそうほうき追出おひだされたほど
「いや、恥をかかせるなんて、そんなことが、あるもんですか。みんなの前でとおっしゃっても、ここの倶楽部くらぶの方ばかりで、みなさんはなかのいい兄弟のような方じゃありませんか」
小指一本の大試合 (新字新仮名) / 山中峯太郎(著)
前年ぜんねんの八ぐわつ英堂和尚えいだうをしやう南都なんと西大寺せいだいじから多田院ただのゐんへのかへりがけに、疝氣せんきなやんで、玄竹げんちく診察しんさつけたことがあるので、一きりではあるが、玄竹げんちく英堂和尚えいだうをしやう相識さうしきなかであつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
上り十間の白扇子しらあふぎうららかなる春の日をかざ片身替かたみがはりの夕時雨ゆふしぐれぬれにし昔の相傘あひがさを思ひ出せし者も有るべし土手八町もうち越して五十けんより大門口に來て見れば折しもなかの町のさくらいま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
世間せけんには、ちょっとしたはずみでおっとからたれても、それをいっこう心にもとめず、打たれたあとからすぐ夫となかよく話をする女がいくらもあるから、これは女性じょせい特有性とくゆうせいかもしれぬ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
勘次等かんじら親子おやこなかよくつてよかんべ、世間せけんきこえも立派りつぱだあ、親身しんみのもなあ、おかげ肩身かたみひろくつてえゝや」おつたはには出口でぐちから一寸ちよつとかへりみていつた。さうしてさつさとつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
向うはなかちやうでも指折りの華魁おいらんだし、こつちは片輪も同様な、ちんちくりんの南瓜だからね。かうならない前に聞いて見給へ。僕にしたつて嘘だと思ふ。それがあいつにやつらかつたんだ。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
年齢のところは、竹見よりもそんなに上でもないのに、まるで親爺おやじのような口をきくくせがあった。この二人の口のやりとりこそ、はなはだらんぼうだが、じつはすこぶるのなかよしだった。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すこしの手違てちがひに突入つきいつてつてかゝり、山上さんじやう大激論だいげきろんはじまり、警務長けいむちやう郡長ぐんちやう代議士だいぎしなどがなかつて、かくゆがみなりの圓滿ゑんまん?にきよくむすび、一中止ちうしして發掘はつくつつゞけることとなつたが
ああ今の東京とうけい、昔の武蔵野むさしの。今はきりも立てられぬほどのにぎわしさ、昔は関も立てられぬほどの広さ。今なかちょう遊客うかれおにらみつけられるからすも昔は海辺うみばた四五町の漁師町でわずかに活計くらしを立てていた。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
随分ずいぶんふるむかしのこと、ヱヴェレストのはるかふもとに、ラランとよぶ一からすんでゐた。ものすごいほどくらい、こんもりとしげつた密林みつりんおくで、毎日まいにちうたつてる小鳥ことりなかのいゝむしなどをころしてべてゐた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
となり同士どうしだから、時々ときどきくちをききなかで、ことに一昨日おとといは、わたし丹精たんせいしたぼたんのはないたものですから、それを一鉢ひとはちわけてつてつてやり、にわでちよつとのうち、立話たちばなしをしたくらいです。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
相手あいて気持きもちをのみむのには、おたがいなかよくし合うことがなによりです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
この夫婦ふうふ大層たいそうなかかったが、小児こどもがないので、どうかして一人ひとりほしいとおもい、おかみさんは、よるも、ひるも、一しんに、小児こどもさずかりますようにといのっておりましたが、どうしても出来できませんでした。
それから二人ふたり連立つれだつて學校がくかうつた。此以後このいご自分じぶん志村しむらまつたなかくなり、自分じぶんこゝろから志村しむら天才てんさいふくし、志村しむらもまた元來ぐわんらい温順おとなしい少年せうねんであるから、自分じぶん又無またな朋友ほういうとしてしたしんでれた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
東山と西山とが、なかよくなつた時、世間の人は、両方の瓦を
にらめつくらの鬼瓦 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
思へるなかも、今日けふよりか
(新字旧仮名) / 末吉安持(著)
さあなかよく合唱がつしやうしやう
二人ふたりは、そのあと学校がっこうで、なかのいいおともだちとなったが、そのときのことが、いまおかあさんにも、りょうちゃんにもおもされたのです。
少年の日二景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まあ、おたがいに自分じぶんまれついた身分みぶん満足まんぞくして、けもの獣同士けものどうしとり鳥同士とりどうし人間にんげん人間同士にんげんどうしなかよくらすほどいいことはないのだ。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ふところからり物の紙をだして、なかよくひとりへ一枚ずつくばってあたえる。見ると、なるほど、子供がしがりそうな美しい刷り物。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、ニールスとコウノトリは、すっかりなかよしになりました。アッカもニールスに、たいへんやさしくしました。
「もし、それが気になるなら、わたくしの方はうでも御座ござんすから、御父様おとうさまなか直りをなすつて、今迄通り御交際つきあひになつたらいぢやありませんか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)