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内部
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なか
ふりがな文庫
“
内部
(
なか
)” の例文
檻
(
おり
)
の戸をあけてそっと
内部
(
なか
)
にはいると、見かけは鈍重そうな氷原の豹どもも、たちまち牙を
露
(
む
)
きだし、野獣の本性をあらわしてくる。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
硝子の窓から
内部
(
なか
)
を
覗
(
のぞ
)
いてみると、底にはふくよかな
脱脂綿
(
だっしめん
)
の
褥
(
しとね
)
があって、その上に茶っぽい硝子
屑
(
くず
)
のようなものが散らばっている。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……ヘヘ……まだまだビックリなさるお話が御座りまする。その振袖娘の振る骰子が、
内部
(
なか
)
に
錘玉
(
おもり
)
の付いたマヤカシ
骰子
(
ざい
)
と言う事実を
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
窓からは線路に沿った家々の
内部
(
なか
)
が見えた。
破屋
(
あばらや
)
というのではないが、とりわけて見ようというような立派な家では
勿論
(
もちろん
)
なかった。
路上
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
なるほど独身者の侘び住いらしく、三間しかない狭い家の
内部
(
なか
)
が、荒れ放題に荒れているのさえ、伝二郎には
風流
(
みやび
)
に床しく眺められた。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
そして、知らない文字に攻められるのが恐しさに、
内部
(
なか
)
をば開けて見ないで、手馴れてゐる自分の書物で蔽うて机の片隅へ押し遣つた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
「ああ——」とお房は返事をしたが、やがて急に力を入れて、幼い
頭脳
(
あたま
)
の
内部
(
なか
)
が破壊し尽されるまでは
休
(
や
)
めないかのように叫び出した。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
日はもう暮れかけていましたが、大屋敷の窓にはまだ
鎧戸
(
よろいど
)
が下してありませんでしたので、
内部
(
なか
)
の様子をちらと覗くことが出来ました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
しかし
外面
(
おもて
)
から
見
(
み
)
たのとは
違
(
ちが
)
って、
内部
(
なか
)
はちっとも
暗
(
くら
)
いことはなく、ほんのりといかにも
落付
(
おちつ
)
いた
光
(
ひか
)
りが、
室
(
へや
)
全体
(
ぜんたい
)
に
漲
(
みなぎ
)
って
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
懐中
鉄梃
(
かなてこ
)
を取りだし、器用な手つきで錠をねじ切ると、いきなり懐中電燈で抽斗の
内部
(
なか
)
を照らしたが、彼は思わず歓びの吐息をもらした。
空家
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
女博士
(
をんなはかせ
)
は困つたなと思つてその
儘
(
まゝ
)
そつと逃げ出さうとしてゐると、
内部
(
なか
)
から
扉
(
と
)
が
開
(
あ
)
いて
悪戯盛
(
いたづらざか
)
りの女学生が「ばあ」と言つて顔を出した。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
内部
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
るに従って闇は益々深かくなり、天井を見ても左右を見ても、無限に厚い岩ばかり、その面には象形文字や鳥獣の姿が
鑿
(
ほ
)
ってある。
木乃伊の耳飾
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
サト子は、思いきり悪く、町角の歩道に立って考えていたが、あいまいな身振りでドアを押すと、そろりと
内部
(
なか
)
へはいった。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
デパートの
内部
(
なか
)
は、いつも
春
(
はる
)
のようでした。そこには、いろいろの
香
(
かお
)
りがあり、いい
音色
(
ねいろ
)
がきかれ、そして、らんの
花
(
はな
)
など
咲
(
さ
)
いていたからです。
青い星の国へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そこで、今度は私が大声に
喚
(
わめ
)
いてみた。これなら
如何
(
いか
)
に寝込んでいても目を覚ますだろうと思ったが、どうした事か、
内部
(
なか
)
からは何の物音も聞えない。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
内部
(
なか
)
はもぬけの殻だつた! 家ぢゆうに煙が立ちこめて、ただ、まんなかのペトゥルーシャの立つてゐた辺に一
堆
(
やま
)
の灰燼が残つてゐるばかりで、それからは
ディカーニカ近郷夜話 前篇:04 イワン・クパーラの前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
そしてなほ彼は馬車が空なので
内部
(
なか
)
に這入ることを許してくれた。私は這入つた、
扉
(
ドア
)
が閉つて、走り出した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
白粉
(
おしろい
)
に汚れた赤い襟の
平常着
(
ふだんぎ
)
の
雛妓
(
おしやく
)
のやうな姿をしたお光を連れて、
愛宕神社
(
あたごじんしや
)
へ行つた時、
内部
(
なか
)
の
空洞
(
うつろ
)
になつてゐる
大銀杏
(
おほいてふ
)
に蜂が巣を作つてゐるのを見付けて、
二人
(
ふたり
)
相談の上
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
しかしいつの間にか私の手は青い
内部
(
なか
)
の灯が映っている硝子張りの扉を押していた。
世相
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
文身
(
ほりもの
)
の様に
雲竜
(
うんりゅう
)
などの
模様
(
もよう
)
がつぶつぶで記された型絵の
燗徳利
(
かんどくり
)
は女の左の手に、いずれ
内部
(
なか
)
は
磁器
(
せともの
)
ぐすりのかかっていようという
薄鍋
(
うすなべ
)
が
脆
(
もろ
)
げな
鉄線耳
(
はりがねみみ
)
を右の手につままれて出で来る。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
内部
(
なか
)
は、三、四間もあろうと思われる広さで、非常に沢山の鱒がこもっていた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
すると又、
突然
(
いきなり
)
褌
(
ふんどし
)
一点
(
ひとつ
)
で蚊帳の外に
跳出
(
とびだ
)
したが、自分の荷物は寝る時の
儘
(
まんま
)
で壁側にある。ホツと安心したが、猶念の為に
内部
(
なか
)
を調べて見ると、矢張変りが無い。「フフヽヽ」と笑つて見た。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と呼んでみましたが、
内部
(
なか
)
は
洋灯
(
ランプ
)
も消えて何の物音もしないのでございます。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
湿っぽい廊下——
内部
(
なか
)
には浅間しい二ツの亡きがらが、お互の喉笛を、掴み合ってころげている、その窓の外で、雪之丞は、思いがけなく闇太郎を発見して、はずかしそうにいうのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「
至極
(
しごく
)
好い具合です。出血も口元だけです。
内部
(
なか
)
の方は何ともありません」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたしの
内部
(
なか
)
で 強気に さう
応
(
いら
)
へするもののこゑがしてゐる
独楽
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
魔法つかひ
鈴振花
(
すずふりばな
)
の
内部
(
なか
)
に泣く心地こそすれ春の日はゆく
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「じゃ、あいつら
内部
(
なか
)
で何してやがるんだ!」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
滔々
(
とうとう
)
と弁じ立てるのだが、その日は法水が草稿を手に扉を開くと、
内部
(
なか
)
は三十人ほどの記者達で、身動きも出来ぬほどの
雑沓
(
ざっとう
)
だった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
彼は自分の
内部
(
なか
)
から
湧
(
わ
)
いて来るもののために半ば押出されるようにして、
隅田川
(
すみだがわ
)
の水の中へでも自分の身体を浸したいと思付いた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
が、ただ、その乾坤二刀の柄の
内部
(
なか
)
に秘めらるる孫六水火の
秘文状
(
ひもんじょう
)
それだけ……それだけは、所望でござる! この老骨の命を賭しても!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
『
誰人
(
だれ
)
も
迎
(
むか
)
えに
来
(
き
)
てくれるものはないのかしら……。』
私
(
わたくし
)
はまるで
真暗闇
(
まっくらやみ
)
の
底無
(
そこな
)
しの
井戸
(
いど
)
の
内部
(
なか
)
へでも
突
(
つ
)
き
落
(
おと
)
されたように
感
(
かん
)
ずるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そうして右手の
取付
(
とっつ
)
きの部屋の前まで来ると、そこに今一人待っていた看護婦が扉を開いて、私たちと一緒に
内部
(
なか
)
に這入った。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
キャラコさんが、雨戸をガタピシさせていると、また
内部
(
なか
)
から、細い弱々しい、茜さんのつぶやくような声が聞えて来た。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
岩を
刳
(
く
)
り抜いて作られた
龕
(
がん
)
から、獣油の灯が仄かに射し、
石竹
(
せきちく
)
色の夢のような光明が、畳数にして二十畳敷きほどの、洞窟の
内部
(
なか
)
を
朦朧
(
もうろう
)
と
烟
(
けむ
)
らせ
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
独語
(
ひとりごと
)
を言ひ言ひ
内部
(
なか
)
に入つて来た。見ると
暖炉
(
ストーブ
)
の
周囲
(
まはり
)
には、
先客
(
せんかく
)
がどつさり寄つて
集
(
たか
)
つて火いきれに
火照
(
ほて
)
つた真赤な顔をして、何かがやがや話してゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
娘
(
むすめ
)
は、その
光線
(
こうせん
)
がどこからどういうふうにもれてくるのであろうかと、
思
(
おも
)
わず、
店
(
みせ
)
の
方
(
ほう
)
へ
寄
(
よ
)
っていって、
色
(
いろ
)
ガラスで
張
(
は
)
られた
窓
(
まど
)
の
内部
(
なか
)
をのぞいてみました。
気まぐれの人形師
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
内部
(
なか
)
で何か故障を起こしたらしく、マズルカが中途で、⦅
*4
マルボローは
軍
(
いくさ
)
に門出せり⦆という歌に変り
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
内部
(
なか
)
でごと/\する音がして、頭髮が肩まで伸びて垂れ下つて垢だらけの男が、汚れくさつた布子の上へ、犬の皮か何かで拵へた胴着のやうなものを羽織つて、立ち現はれた。
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ただ一つ濃い闇を四角に仕切ってポカッと起きているのは、厚い
煉瓦塀
(
れんがべい
)
をくりぬいた変電所の窓で、
内部
(
なか
)
には
瓦斯
(
ガス
)
タンクの群像のような
油入
(
あぶらいり
)
変圧器が、ウウウーンと単調な音を立てていた。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
吼声
(
こえ
)
と、風の
呻
(
うな
)
りと、樹々を打つ雨の音を聞くと、静かな
室
(
へや
)
の
内部
(
なか
)
が一しお暖かそうに思われ、そこにじっと
黙
(
もだ
)
している
婦人
(
おんな
)
の姿が、何となく懐かしい感じをさえも与えるのであった。
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「林がこの
内部
(
なか
)
で寝ているのに間違いはないでしょうね」
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わたしの
内部
(
なか
)
に 揚羽蝶よりも
独楽
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
内部
(
なか
)
は、湿っぽい密閉された
室
(
へや
)
特有の闇で、そこからは、濁りきっていて妙に埃っぽい、
咽喉
(
のど
)
を
擽
(
くすぐ
)
るような空気が流れ出てくるのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
父としての彼が今度のような事件を引き起こして見ると、おのれの
内部
(
なか
)
にあふれて来た感動すら彼はそれを説き明かすことができない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
仮にまたあの家へ行くにしても、何か
機械
(
からくり
)
のありそうな影屋敷の
内部
(
なか
)
をのぞいて見ることも、何となくお蔦の好奇心をそそのかすのだった。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
物
(
もの
)
堅
(
がた
)
い
良人
(
おっと
)
の
方
(
ほう
)
でも、うわべはしきりに
耐
(
こら
)
え
耐
(
こら
)
えて
居
(
お
)
りながら、
頭脳
(
あたま
)
の
内部
(
なか
)
は
矢張
(
やは
)
りありし
昔
(
むかし
)
の
幻影
(
げんえい
)
で
充
(
み
)
ち
充
(
み
)
ちているのがよく
判
(
わか
)
るのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
源内先生も、すこしゾクッとした顔で、恐るおそる喰い合せの悪い門扉の隙間から、
内部
(
なか
)
を覗いていたが、とつぜん
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この時忽然
背後
(
うしろ
)
の辻堂の扉が、
内部
(
なか
)
の方から開けられて、そしてそこから現われ出たのはまだ前髪の若衆である。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
耳と眼をジッと澄まして
動静
(
ようす
)
をうかがいますと、この森は
内部
(
なか
)
の方までかなり大きな樹が立ち並んでいるらしく、星明りに向うの方が透いて見えるようです。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“内部”の意味
《名詞》
内 部 (ないぶ)
仕切りの中の方。
集団の中。
(出典:Wiktionary)
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
部
常用漢字
小3
部首:⾢
11画
“内部”で始まる語句
内部状態
内部韻律
内部の生命
内部の韻律