なか)” の例文
なか這入はいッて見ると大違い、もっとも客も相応にあッたが、給事のおんなが不慣れなので迷惑まごつく程には手が廻わらず、帳場でも間違えれば出し物もおくれる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今迄いままで宗助そうすけこゝろえいじた御米およねは、いろおと撩亂れうらんするなかつてさへ、きはめていてゐた。さうしてそのきの大部分だいぶぶん矢鱈やたらうごかさないはたらきからたとしかおもはれなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今まで宗助の心に映じた御米は、色と音の撩乱りょうらんするなかに立ってさえ、きわめて落ちついていた。そうしてその落ちつきの大部分はやたらに動かさない眼の働らきから来たとしか思われなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)