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独
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ひとり
ふりがな文庫
“
独
(
ひとり
)” の例文
旧字:
獨
と
独
(
ひとり
)
で
苦笑
(
くせう
)
する。
其
(
そ
)
のうちに、
何故
(
なぜ
)
か、バスケツトを
開
(
あ
)
けて、
鍋
(
なべ
)
を
出
(
だ
)
して、
窓
(
まど
)
へ
衝
(
つ
)
と
照
(
て
)
らして
見
(
み
)
たくてならない。
指
(
ゆび
)
さきがむづ
痒
(
がゆ
)
い。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
親類の子供もわたくしの家には寄りつかないようになっているから、今では結局
憚
(
はばか
)
るものはない。ただ
独
(
ひとり
)
恐る
可
(
べ
)
きは
操觚
(
そうこ
)
の士である。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
蕃書調所に入門その前に私が横浜に
行
(
いっ
)
た時にキニツフルの店で薄い蘭英会話書を二冊
買
(
かっ
)
て来た。ソレを
独
(
ひとり
)
で
読
(
よむ
)
とした所で
字書
(
じしょ
)
がない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それにしても、学校へ行きもしないのに、カバンを掛けてゐるのは少し可笑しい——そんなことを思つて、彼は
独
(
ひとり
)
で顔を赤らめた。
清一の写生旅行
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
舳の少女は
独
(
ひとり
)
歌いながら、愈々身体を振って、櫂の手を早めた。舟はスイスイと、水虫の様に調子をつけて、勢いよく辷り始める。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
「お姉さまが黙っていると、なんだか、
独
(
ひとり
)
ぽっちでいるようで怖いのよ。あたし、お姉さまのところへ入っていってはいけないこと?」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
伯父さんも義理で孝助を出すに違いないが、
就
(
つ
)
いちゃア
明日
(
あした
)
伯父
様
(
さん
)
と一緒に帰って来ては困るが、孝助が
独
(
ひとり
)
で先へ帰る訳には出来まいか
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
多分は隣り同士の二箇所の社が、互に相手にかまわずには、
独
(
ひとり
)
で繁昌することが出来ぬように、考えられていた結果であろうと思います。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
で、禿はその通の病人だから、今ではあの女が
独
(
ひとり
)
で腕を
揮
(
ふる
)
つて益す盛に
遣
(
や
)
つてゐる。これ
則
(
すなは
)
ち『
美人
(
びじ
)
クリイム』の名ある
所以
(
ゆゑん
)
さ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
いつも
独
(
ひとり
)
往って弾きもし歌いもすることになっている。老女
歌野
(
うたの
)
、お部屋おたつの人々が
馴染
(
なじみ
)
になって、陸を引き廻してくれるのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
農夫は
屡
(
しば/\
)
後
(
おくる
)
るゆゑ
終
(
つひ
)
には
棄
(
すて
)
て
独
(
ひとり
)
先
(
さき
)
の村にいたり、しるべの家に入りて
炉辺
(
ろへん
)
に
身
(
み
)
を
温
(
あたゝめ
)
て酒を
酌
(
くみ
)
、
始
(
はじめ
)
て
蘇生
(
よみがへり
)
たるおもひをなしけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
しかしとにかく如才のない、世辞のよい、地代から貸金の催促まで家事一切
独
(
ひとり
)
で切って廻る程あって、万事に抜目のない婦人。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
また
独
(
ひとり
)
になりて、今日の日記の事思ひ出す。これ位波瀾なき平和なる日は一ヶ月に二日とはなきに丁度それが日記の日に当りたるは不運なり。
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
其筋からも
時々
(
しば/\
)
異様な人が来て尋問するなどの事が有ては
独
(
ひとり
)
で辛抱が出来なく成り必ず忍で其情夫に逢に行くだろうと思うが
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
そして吾ながら何といふ立派な英語を使つたものだらうと、
独
(
ひとり
)
で感心してゐたが、ふとそれが電車の掲示に似てゐるのを思つて
嫌
(
いや
)
な気持がした。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし得意ということは多少競争を意味する。自分の画の好きなことは全く天性といっても
可
(
よ
)
かろう、自分を
独
(
ひとり
)
で置けば画ばかり書いていたものだ。
画の悲み
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
殊に最初はおとなしい馬へ乗せ、先輩の人に口を引いて歩かせてもらうのが、私よりも小さい少年が
独
(
ひとり
)
で馬を走らせているに較べて甚だ見苦しく感じた。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
「
布団
(
ふとん
)
は、あすこに
這入
(
はい
)
ってるから、
独
(
ひとり
)
で出して御掛けなさい。一枚三銭ずつだ。寒いから二枚はいるでしょう」
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
現に、私事は、武運つたなく、一名も
当
(
とう
)
の敵には会いませんでしたが、敵のうちに
独
(
ひとり
)
一少年あって、これは余程の働き、
不愍
(
ふびん
)
とは存じながら、やむなく一命を
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其身
(
そのみ
)
が世の
名利
(
みやうり
)
に
拘
(
かゝ
)
はらねばなり、
此日
(
このひ
)
見
(
み
)
るもの
皆
(
みな
)
嬉
(
うれ
)
しく、人の
為
(
す
)
る
業
(
わざ
)
を
有難
(
ありがた
)
く
思
(
おも
)
ひしは、朝の心の
快濶
(
くわいくわつ
)
なりしうつりか、
其
(
その
)
飛々
(
とび/\
)
の
独
(
ひとり
)
笑
(
ゑ
)
み
隅田
(
すみだ
)
の
春光
(
しゆんくわう
)
今日
(
けふ
)
新
(
あたら
)
し。
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
もう途中で落ちはせぬかという懸念は無く成ったが、あの儘自分だけで渡り終って、先を急ぐとて
独
(
ひとり
)
で行って了いはせぬか。それが気遣われるばかりで有った。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
お島は日がくれても家へ帰ろうともしず、上野の山などに
独
(
ひとり
)
でぼんやり時間を消すようなことが多かった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
生
(
うみ
)
の親の事は忘れたのであろうか。
否々
(
いやいや
)
万作夫婦の前では左もないが、
独
(
ひとり
)
居る時は、深く深く思案に沈むことがある。其時は直ぐ歌う。如何にも悲しそうに歌う。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
……然し、この悲しきお利代の一家にも、思懸けぬ
幸福
(
さいはひ
)
が湧いて来た! 智恵子は、神の御心に委ねた身ながらに、
独
(
ひとり
)
ぼツちの寂しさを感ぜぬ訳にいかなかつた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
晩近
(
ばんきん
)
に及て、これを非する説ますます盛なりという。これによりてこれを見れば、奉教の人この日にあたり、安息して
独
(
ひとり
)
を慎み天を敬するがごときは、もとより可なり。
日曜日之説
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
(
独
(
ひとり
)
窓の
傍
(
かたわら
)
に座しおる。
夕陽
(
ゆうひ
)
。)夕陽の照す
濡
(
しめ
)
った空気に包まれて山々が輝いている。棚引いている
白雲
(
しらくも
)
は、上の方に
黄金色
(
こがねいろ
)
の
縁
(
ふち
)
を取って、その影は灰色に見えている。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
八八
窮鬼
(
いきすだま
)
といふものにや、
八九
古郷
(
ふるさと
)
に捨てし人のもしやと
九〇
独
(
ひとり
)
むね苦し。彦六これを
諫
(
いさ
)
めて、いかでさる事のあらん。
九一
疫
(
えき
)
といふものの悩ましきはあまた見来りぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「鶴が鳴き葦辺をさして飛び渡るあなたづたづし
独
(
ひとり
)
さ
寝
(
ぬ
)
れば」(三六二六)、「沖辺より潮満ち来らし
韓
(
から
)
の浦に
求食
(
あさ
)
りする鶴鳴きて騒ぎぬ」(三六四二)等の歌があり
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
かの女が
仮想
(
かそう
)
に楽しむ——
巴里
(
パリ
)
に居る
独
(
ひとり
)
息子が帰ったら、
此
(
こ
)
の
辺
(
あたり
)
へ家を建てて
遣
(
や
)
ろうか、
若
(
も
)
しくはいっかな帰ろうとしない息子にあんな家、
斯
(
こ
)
んな家でも建てて置いたら
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかし
無論
(
むろん
)
、
彼
(
かれ
)
は
自身
(
じしん
)
に
何
(
なん
)
の
罪
(
つみ
)
もなきこと、また
将来
(
しょうらい
)
においても
殺人
(
さつじん
)
、
窃盗
(
せっとう
)
、
放火
(
ほうか
)
などの
犯罪
(
はんざい
)
は
断
(
だん
)
じてせぬとは
知
(
し
)
っているが、また
独
(
ひとり
)
つくづくとこうも
思
(
おも
)
うたのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
仏蘭西
(
フランス
)
などに在つては何かの機会で世に
著
(
あらは
)
れた詩人の
下積
(
したづみ
)
に成つて、
老
(
おい
)
も若きも多数の作家は
全
(
まつた
)
く
泛
(
うか
)
ぶ瀬を失ひ、勢ひヌエの様に諦めを附けて
独
(
ひとり
)
を楽しむ外は無いのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その南に
隣
(
とな
)
って
琉璃色
(
るりいろ
)
のように光る
田代池
(
たしろいけ
)
、
焼岳
(
やけだけ
)
も霞岳もよく見える、もうここに来ると偃松は小くなって、処々にその力なき
枝椏
(
しあ
)
を横たえ、黄花駒の爪は
独
(
ひとり
)
笑顔を
擡
(
もた
)
げている
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
母親は
華麗
(
はで
)
な
御暮
(
おくらし
)
や美しい御言葉の
裡
(
なか
)
に私を
独
(
ひとり
)
残して置いて、柏木へ帰って
了
(
しま
)
いました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
氏康逝き、信玄歿し、関東は謙信の
独
(
ひとり
)
舞台となつたが、彼も亦、天正六年三月西上の軍を発するに先だち、
俄
(
にはか
)
に卒去した。信長に取つては重ね/″\の天幸と云はねばならない。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
放しともないが厭だとは
云
(
いわ
)
れず、宜しと云う下から小歌は急がわしく出て行ったが、その帰りを
独
(
ひとり
)
ぽつねんと待つ貞之進は、何かは知らぬがただ一つ小歌に望むことがあるようで
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
春の花いづれとなく皆開け
出
(
いづ
)
る色ごとに目おどろかぬは無きを、心短く打すてゝ散りぬるが恨めしうおぼゆるころほひ、此花の
独
(
ひとり
)
たち後れて夏にさきかゝるなん、あやしく心にくゝ
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
熟々
(
つくづく
)
と見て居ると、
紅
(
くれない
)
の
歓楽
(
かんらく
)
の世に
独
(
ひとり
)
聖者
(
せいじゃ
)
の
寂
(
さび
)
しげな白い紫雲英が、
彼所
(
かしこ
)
に一本、
此処
(
ここ
)
に一
株
(
かぶ
)
、眼に立って見える。主人はやおら立って、野に置くべきを我庭に
移
(
うつ
)
さんと白きを掘る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼をホントウの
独
(
ひとり
)
ポッチにしてしまうべく、不可抗的な運命を彼自身に編み出させて行った不可思議な或る力の作用を今一度、数学の解式のようにアリアリと展開し初めたのであった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その偽物を床の間へかけて風流だとか
高尚
(
こうしょう
)
だとか
独
(
ひとり
)
でよがって台所では
青銅鍋
(
からかねなべ
)
を使っているような似非風流が長く流行したら日本国も亡びるね。我邦の風流は大概実用と
背馳
(
はいち
)
している。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
西瓜の切売をした事もある、とゞの
結局
(
つまり
)
が縁日商人となつて
九星
(
きうせい
)
独
(
ひとり
)
判断
(
はんだん
)
、英語独稽古から初めて此頃では
瞞着
(
まやかし
)
の化粧品と小間物を売つてマゴ/\しておるが君、金を儲けるのは商人だよ。
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
立山連峰の偉観は
独
(
ひとり
)
此山脈中に比す
可
(
べ
)
きものなきのみならず、南北日本アルプスを通じて稀に見る所であるから、立山を主とした越中方面の称呼に従っても、敢て偏見という可きではない
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
わけの判らぬことを
独
(
ひとり
)
でグズグズ言っていたが、主人の方に膝を向け変え
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一方は即ち孤女院、貧民院等の義挙に同感を表する
人情
(
ヒウマニチイ
)
也、他方は即ち禅僧の如き
山人
(
ヘルミット
)
の如き、世の
所謂
(
いはゆる
)
すね者の如き超然
独
(
ひとり
)
を楽しむ主我的観念也。吾人は此二の者が幸にして相合せるを祝す。
凡神的唯心的傾向に就て
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
むしろ黎明と共に見え初める紫水晶の富士の峯が先づ紅をさして、その紅が一分々々と
裾
(
すそ
)
迄流れて、スラツと純白な巨嶺となる迄の釣れ盛りの一時を、漁業を犠牲にしながら、
独
(
ひとり
)
楽しみたいのである。
釣十二ヶ月
(新字旧仮名)
/
正木不如丘
(著)
それがためにかれは
独
(
ひとり
)
で悩み、独で敗れることになったのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「下女が居ないからね、此の通り掃除もとどかないよ。実は君が来ることを杉野や渋川にも知らせたかったが、下女がいないからね」岡村は言い分けのように
独
(
ひとり
)
で物を云いつつ、洋燈を床側に置いて
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
とお父さまは間もなく少し疲れて例の
独
(
ひとり
)
ごとを言い始めた。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ある時は
独
(
ひとり
)
行くとてはつたりと朱の断面に行き遇ひにたり
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
独
(
ひとり
)
立つ木も、打むれて
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
が、聞くものがなければ
独
(
ひとり
)
で、むむ、ふむ、といったような、承知したようなことを
独言
(
ひとりごと
)
のようでなく、聞かせるようにいってる人で。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
独
常用漢字
小5
部首:⽝
9画
“独”を含む語句
孤独
独言
独語
独身
独木舟
独断
独立
独逸
独白
独居
独笑
独身者
独鈷
独房
独自
独楽
独活
独酌
独唱
独占
...