“尤物”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ゆうぶつ68.8%
まれもの12.5%
いうぶつ6.3%
べっぴん6.3%
いつぶつ3.1%
わざもの3.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
以前ローマ人は、半男女を不祥とし、生まれ次第海に投げ込んだが、後西暦一世紀には、半男女を、尤物ゆうぶつの頂上として求め愛した。
「まづその御意おつもりでお熱いところをお一盞ひとつ不満家むづかしや貴方あなたが一寸好いと有仰おつしやる位では、余程よつぽど尤物まれものと思はなければなりません。全くすくなうございます」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
呼ぶスハヤ尤物いうぶつ此中このうちに在るぞと三人鵜の目鷹の目見つけなば其所そこらんとする樣子なり我は元より冷然として先に進み道のかたへのすみれふきたう蒲公英たんぽゝ茅花つばななどこゝのこんの春あるを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
衆曰くかかる尤物べっぴんは五百人に愛さるるも奇とするに足らずと、三七日さんしちにち経て長者大歓会をし、彼女を妙光と名づけた。
「したが、女中は山猿でも、当家の娘は竜宮の乙姫が世話に砕けたという尤物いつぶつ。京大阪にもちょっとあれだけの美人は御座るまいて」と黒い浪人は声をひそめながらもニコニコ顔で弁じ立てた。
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
三日で済む苦しみを一週間に引延すだけの事なら、いっそ早く片付けた方がましではあるまいか? 隣ののそばに銃もある、而も英吉利製イギリスせい尤物わざものと見える。一寸ちょッと手を延すだけの世話で、直ぐらちが明く。