仇討三態あだうちさんたい
その一 越の御山永平寺にも、爽やかな初夏が来た。 冬の間、日毎日毎の雪作務に雲水たちを苦しめた雪も、深い谷間からさえ、その跡を絶ってしまった。 十幾棟の大伽藍を囲んで、矗々と天を摩している老杉に交って、栃や欅が薄緑の水々しい芽を吹き始めた。 …
作品に特徴的な語句
つが 綿衣わたごろも 蒼白まっさお つら 下枝しずえ 何人なんびと 揶揄からかい もとめ むな ゆる 年暮ねんぼ 御作ぎょさく しん こぞ おさ おだ 矗々ちくちく 祝酒いわいざけ 維那ゆいな こし きびす 門付かどづけ 乍入さにゅう 了畢りょうひつ 五布いつの 作務さむ いた 其許そこもと 函櫃はこびつ 刃傷にんじょう 剃刀かみそり 匕首あいくち 双頬そうきょう なご 固唾かたず むく 夜座やざ 安居あんご 定命じょうみょう くつろ 得度とくど 得討えう 御山みやま 怏々おうおう 惟念ゆいねん 慟哭どうこく よろこ えぐ 挂塔けいとう かたき かた 日毎ひごと いとま 有付ありつ 杣夫そま なにがし とち 極老ごくろう かや けやき 正丑しょううし 武士さむらい 母子おやこ 沙門しゃもん 法螺ほら 浪華なにわ よだれ みなぎ 無益むやく うつつ 由縁ゆかり 直溥なおひろ 瞋恚しんい きわ 穿鑿せんさく かざ 老杉ろうさん 行斎ぎょうさい たもと 見出みいだ 覿面てきめん 諷経ふぎん 諸々もろもろ 謀計はかりごと けな 蹣跚まんさん 逆手さかて はや 邂逅かいこう 還俗げんぞく あかがね 開闢かいびゃく