“矗々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すくすく41.7%
ちくちく41.7%
すく4.2%
すく/\4.2%
すっく4.2%
ちく/\4.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
大方の冬木立は赤裸あかはだかになった今日此頃このごろでも、もみの林のみは常磐ときわの緑を誇って、一丈に余る高い梢は灰色の空をしのいで矗々すくすくそびえていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
背後には鬱々うつうつと茂った山が、夜空に矗々ちくちくそびえている。明るい美しい陽はないが、その代り満天の星の数が、ひょうの眼のように光っている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
水源みなもと岩井沼いはゐぬまおこすとふ、浦川うらかはながれすゑが、ひろつてうみそゝところちかかつた。旅館りよくわんてまだいくほどもないところに——みちそばに、切立きつたてた、けづつた、おほきいはほの、矗々すくつのをた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何の風情もない、饅頭笠を伏せた樣な芝山で、逶迤うねくねしたみちが嶺に盡きると、太い杉の樹が矗々すく/\と、八九本立つてゐて、二間四方の荒れ果てた愛宕神社のほこら
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
大きな星一ツに小さいのがツきらきらとして、周囲まわりには何か黒いものが矗々すっくと立っている。これは即ち山査子さんざしの灌木。俺は灌木の中に居るのだ。さてこそ置去り……
水を切って、車輪のように大きい真紅や雪白の蓮華が、矗々ちく/\と生えて居る。水にのぞんでは、金銀瑠璃玻璃の楼閣が、蜿蜒として連って居る。
極楽 (新字新仮名) / 菊池寛(著)