“矗然”の読み方と例文
読み方割合
すっく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼奴きゃつ、どうするかと息をひそめてうかがつてゐると、かれは長き尾を地にき二本の後脚あとあしもっ矗然すっくと立つたまゝ、さながら人のやうに歩んで行く、足下あしもと中々なかなかたしかだ。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
云いつつしずかに衾をめくると、待構まちかまえたる重太郎は全身の力をめてえいやとね返したので、不意をくらった忠一は衾を掴んだまま仰向けに倒れた。重太郎は洋刃ないふを閃かして矗然すっくった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
独語ひとりごとのように云って、お杉は矗然すっくあがったかと見るうちに、左右の人々を一々め廻しながら、彼女かれはふらふらと歩き出した。加之しかも今の騒動さわぎは忘れたように、諷然ひょうぜんと表へ出て行った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)