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矗然
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すっく
彼奴、どうするかと息を
潜めて
窺つてゐると、
彼は長き尾を地に
曳き二本の
後脚を
以て
矗然と立つたまゝ、
宛ら人のやうに歩んで行く、
足下は
中々確だ。
云いつつ
徐に衾を
剥ると、
待構えたる重太郎は全身の力を
籠めて
曳やと
跳ね返したので、不意を
食った忠一は衾を掴んだまま仰向けに倒れた。重太郎は
洋刃を閃かして
矗然と
起った。
独語のように云って、お杉は
矗然と
起ち
上ったかと見る
中に、左右の人々を一々
睨め廻しながら、
彼女はふらふらと歩き出した。
加之も今の
騒動は忘れたように、
諷然と表へ出て行った。
三人は
霎時黙っていた。やがてお杉は
矗然と
起った。