)” の例文
玄石、子珍に語ったは、きに汝を伴れて汝の父を見せんと思いしも、汝の父、今牢獄にあって極めて見苦しければ、今更見るべきにあらず。
黄生うちゑみて『きに実を告げざりしとがめにやあらむ、うべなり、この厄に遇はむとはしたる。今や卿を知り得たり。卿もし疎くもてなさば艾もてくゆらしやらむ』
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
予が窓下に、昔讀んだ事があるといふ記憶を唯一のたよりに、かの紀行の内からやうやうこの頁を搜しあてた頃には、既に海は暗く、きの船影は既に見る可からざるに至つた。
海郷風物記 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
わがもとめはむなしからず、予はわが深き至情の宮居にわが神いましぬと感じて幾たびか其の光明に心をどりけむ。吾が見たる神は、最早きの因襲的偶像、又は抽象的理想にはあらざりし也。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)