“真向”のいろいろな読み方と例文
旧字:眞向
読み方(ふりがな)割合
まっこう45.8%
まむき12.5%
まつかう9.4%
まとも9.4%
まむ5.2%
まむか3.1%
まむこう3.1%
まつこう2.1%
まむかい2.1%
まむこ2.1%
(他:5)5.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“真向”を含む作品のジャンル比率
文学 > ロシア・ソヴィエト文学 > 小説 物語6.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.8%
文学 > 日本文学 > 詩歌0.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
巳之助が正気にかえったのは、それから二刻ふたときほどの後で、彼は何者にか真向まっこうを撃たれて昏倒したのである。
半七捕物帳:52 妖狐伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
伏見稲荷の前まで来ると、風は路地の奥とはちがって、表通から真向まっこうに突き入りいきなりわたくしの髪を吹乱した。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
横にあおる風を真向まむきに切って、歯を逆にねじると、甲野の門内に敷き詰めた砂利が、玄関先まで長く二行に砕けて来た。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ああ、それは私の為事しごとの一つでしたわねえ。貴方に吩付いひつけられた。」女は居住まひを直して男の真向まむきになつた。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
さうしてこの変化は既に独逸が真向まつかうに振りかざしてゐる軍国主義の勝利と見るより外に仕方がない。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
現にかれなどはそれを真向まつかう振翳ふりかざしてこれまでの人生を渡つて来た。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
朴鳳錫 (駈け降りて来る)こいつ! 貴様が先生に用のあるはずはない。おい、鄭君、こんなやつと真向まともに口利くことないんだ。抛り出しちまおう。
過去などはどうでもよい、ただこの高いものと同程度にならなければ、わが現在の存在をも失うに至るべしとの恐ろしさが彼らを真向まともに圧迫するからである。
そのくせ、お綱の今の真向まむきな気持——それはやっぱり事情のゆるすかぎり、れてやりたい気がするのだ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
カピはまた主人のかくしをさぐって一本のつなを出し、軽くゼルビノに合図をすると、ゼルビノはすぐにかれの真向まむかいにをしめた。
日比野の家は、この町内で子供達が遊び場所にしてゐる井戸の外柵の真向まむかひで、井戸より五六軒へだたつたお涌の家からはざつと筋向うといへる位置にあつた。
蝙蝠 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
その真向まむかいの家はさすが欧州人の家だけあって寝室、書室、接客室などもあってなかなか立派な家で、多くの下僕しもべがあちこちと忙しそうに働いて居りました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ひとり何とも知れぬ大きな亀のこうが、真向まむこうに釣るしてあって、その下から長い黄ばんだ払子ほっす尻尾しっぽのように出ていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
——鹿落を日暮方出て此地ここへ来る夜汽車の中で、目の光る、陰気な若い人が真向まむこうに居てね。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
真向まつこうにおごり息づむ張胸の七面鳥の脚の短かさ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そこへまた、なにかみなりのやうに怒鳴どなこえがしたかとおもふと、小牛こうしほどもあるかたこほりかたまりがピユーツとちてきて、真向まつこうからラランのからだをばした。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
建込たてこんだ表通りの人家にさえぎられて、すぐ真向まむかいに立っているの高い本願寺の屋根さえ、何処どこにあるのか分らぬような静なこのへんの裏通には、正しい人たちの決して案内知らぬ横町よこちょうが幾筋もある。
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私の小屋と真向まむかいの……金持は焼けないね……しもた屋の後妻うわなりで、町中の意地悪が——今時はもう影もないが、——それその時飛んで来た、燕の羽の形にうしろねた、橋髷はしまげとかいうのを小さくのっけたのが、かどの敷石に出て来て立って、おなじように箔屋の前をじっとすかしてていた。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大工と一所いっしょに、南屋の普請ふしんかかって居るので、ちょうど与吉の小屋と往来を隔てた真向まむこうに、小さな普請小屋が、真新まあたらしい、節穴ふしあなだらけな
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが、眼だけは、たえず真向まむこうの酒井家蔵用人くらようにん本田頼母ほんだたのもの屋敷に注意していた。啓之助はそれを天満の万吉だとは夢にも知らなかったが、万吉の方ではくから気がついていた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真向まっこうへ顔を持ってくるのでなくても、近く寄り添って来る薫に、大姫君は羞恥しゅうちを覚えるのであったが、これだけの宿縁はあったのであろうと思い、危険な線は踏み越えようとしなかった同情の深さを、今一人の男性に比べて思うと、一種の愛はわく姫君であった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
朝凪あさなぎの海、おだやかに、真砂まさごを拾うばかりなれば、もやいも結ばずただよわせたのに、呑気のんきにごろりと大の字なりかじを枕の邯鄲子かんたんし、太い眉の秀でたのと、鼻筋の通ったのが、真向まのけざまの寝顔である。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
石橋いしばしはかつて、同益社どうえきしや真向まむかう一軒いつけんいへりて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
羽織に、ショオルを前結び。またそれが、人形に着せたように、しっくりと姿に合って、真向まんむきに直った顔を見よ。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ええたくさんできましたよ。もっとも変るはずですね、考えて見ると。もうやがて三十年にもなろうと云うんですから。旦那も御承知の通り、あの時分は芸者屋ったら、寺内にたった一軒しきゃ無かったもんでさあ。東家あずまやってね。ちょうどそら高田の旦那の真向まんむこうでしたろう、東家の御神灯ごじんとうのぶら下がっていたのは」
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)