“まとも”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:マトモ
語句割合
正面37.1%
真正面20.6%
真面19.4%
真向5.3%
的面3.5%
正的2.4%
眞正面2.4%
眞面1.8%
真艫1.2%
善良0.6%
(他:10)5.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分は胸きりの水中容易に進めないから、しぶきを全身に浴びつつ水にせて顔を正面まともに向けて進むことはできない。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「違うかの。」と独言ひとりごと。変に、跫音あしおとを忍ぶ形で、そのまま通過ぎると、女学校のその通用門を正面まともに見た。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
死人のような青い顔をして、私の寝台の前に突立った彼は、私の顔を真正面まともに見得ないらしく、ガックリと頭をれた。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そして、何気なく彼女がこちらに向けた顔と、レンズを透してばったり真正面まともに会った時、中野は思わず、低くはあったが
地図にない島 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
丁度、白峰山脈からいえば、農鳥山の支峰の下で、河原から、赤石山脈のあいたけとは、真面まともに向き合っている。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
勿論むろん道の付いている筈がなし、北西の風を真面まともに受けて、雪が目口めくちに入って一足も踏み出せるものでない。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
朴鳳錫 (駈け降りて来る)こいつ! 貴様が先生に用のあるはずはない。おい、鄭君、こんなやつと真向まともに口利くことないんだ。抛り出しちまおう。
過去などはどうでもよい、ただこの高いものと同程度にならなければ、わが現在の存在をも失うに至るべしとの恐ろしさが彼らを真向まともに圧迫するからである。
いや、いきほひで、的面まともにシツペイをられたには、くまひしいだうでくだけやう。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
的面まともに屹と首領の覆面を見据えて、朱唇くちびるには火のような言葉を吐きます。
青い眼鏡 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
また甘えるように、顔を正的まともに差出して、おとがいを支えた指で、しきりにせわしく髯をひねる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
成程、たらたらとうるしのような腹を正的まともに、こうらに濡色の薄紅うすべにをさしたのが、仰向あおむけにあぎと此方こなたへ、むっくりとして
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平七は怪訝な顏をしながら、膝の下に隱れてゐる金の吸口の煙管を探す風で、座蒲團の右左を手探りつゝ、父の顏を眞正面まともに見てゐた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
谷はいまこの冴えた月のひかりを眞正面まともに浴びて、數知らぬ小さな銀の珠玉をさらさらと音たてゝうち散らしながら眞白になつて流れて居る。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
その、或る程度のお覺悟——と云ふ、まるで鐵槌をいきなり眞面まともから打ち降されたやうな詞に、私の頭は混亂した。
疑惑 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
その祠の階段に腰を掛けると、此處よりは少し低目の、同じ形の西山に眞面まともに對合つた。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
真艫まともに強い疾風を受けた白鮫号は、矢のように速く鳥喰崎を迂廻する。陰気な雲は空一面にどんよりと押し詰って、もう太陽の影も見えない。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
洋々たる水はさながら一大湖水をただよわし、前岸有れども無きが如くにして、遠く碧天に接し、上り下りの帆影、真艫まともに光をりて、眩きまでに白し。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
ほかに理由わけがあると睨んだ与助の推測どおり、心に思っている女があって、善良まともな生活が恋しくなったと言う告白だ。二十七の物思い——鬼瓦の文珠屋が恋風を引き込んだ。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
右の裸男は、最初のうちは、こちらを当面まともに川を横に泳いで来るのですから、よくわかりませんでしたけれど、やや深いところへ来ると、身を斜めにして抜手を切り出したものですから、その時はじめてわかったのは
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
境も嗽手水うがいちょうずして、明王の前に額着ぬかづいて、やがて、相並んで、日を正射まともに、白い、まばゆい、峠を望んで進んだ。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また、それから行う折檻の方法が、二種に分れているのであって、枕探しをしたとか、不意の客と深間になったとか云う場合などは、身体の位置が正常まともになった時——即ち、頭を上に直立した際を狙って、背を打つのである。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
コン吉は今日こそは正当まともな昼飯にありつけると、心情いささか駘蕩たいとうたる趣きをていしかけて来たところ、アランベエル商会は、その町の入口で、あたかも道路改修中のやわらかいアスファルトの層の中へ前足を突っ込んでしまった。
「ウン。あのハンカチの一件は一番カンジンの話なんだが、戸塚の野郎が正直まともに話すか知らんと思ったから、俺は別々に訊問された時もわざと云わずにおいたんだ。そうして様子を探ってみたんだ」
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お説教がやがて続き出したのをいゝしほだとも思つたらしく、みんながもとの様に正面向まともに身体を直した。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
おつぎは當面まともほこりけるのにはとほきつける土砂どしやほゝはしつて不快ふくわいであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おつぎはるなときつける北風きたかぜ當面まともけて呼吸いきがむつとつまるやうにかんじてふと横手よこていた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
家の中で誰かゞ立ち上つて、土間の下駄をつゝかけながら、來る音を源吉は聞いた。戸をガタ/\させてゐたが、がらつと開いた。光がサツと外へ流れ出た。入口に立つてゐた源吉に、眞向まともに光が來た。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
半分に切ったからというて半分真的まともにあるというのは余程珍しい。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
とおさだは口走ったが、その時おさだの眼は眼面まともにおげんの方を射った。
ある女の生涯 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)