正的まとも)” の例文
あみそこはう……みづなかに、ちら/\とかほえる……のお前様めえさましろかほ正的まともじつ此方こちらるだよ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たらたらとうるしのような腹を正的まともに、こうらに濡色の薄紅うすべにをさしたのが、仰向あおむけにあぎと此方こなたへ、むっくりとして、そして頭のさきに黄色く輪取った、その目がなかだかにくるりと見えて
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また甘えるように、顔を正的まともに差出して、おとがいを支えた指で、しきりにせわしく髯をひねる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
正的まともに町と町がくっついた三辻みつつじの、その附根つけねの処を、横に切って、左角の土蔵の前から、右の角が、菓子屋の、その葦簀よしず張出はりだしまで、わずか二間ばかりのあいを通ったんですから、のさりとくのも
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)