的面まとも)” の例文
「お蝶、」とちと鋭くいうと、いつも叱るのをはぐらかす伝で、蝶吉は三指をいて的面まともつぶし島田に奴元結やっこもとゆいを懸けた洗髪あらいがみつややかなのを見せて、俯向うつむけにかしこま
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「これが、みっちゃんの眼を狙ったんだ、的面まともに突っ立つと命が危ない」
古城の真昼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
いや、いきほひで、的面まともにシツペイをられたには、くまひしいだうでくだけやう。按摩あんま爾時そのとき鼻脂はなあぶら
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
的面まともに屹と首領の覆面を見据えて、朱唇くちびるには火のような言葉を吐きます。
青い眼鏡 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
的面まともにこっちを向いて、眉の優しい生際はえぎわの濃い、鼻筋の通ったのが、何も思わないような、しかも限りなきおもいを籠めた鈴のような目をみはって、瓜核形うりざねなりの顔ばかり出して寝ているのをながめて
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
赤井左門の叱咜しつた的面まともに受けて
的面まともに台に向いまして、ちちんぷいぷい、御代ごよ御宝おんたからと言ったのだか何だか解りませぬが、口に怪しい呪文を唱えて、ばさりばさりとふたつかいなを、左右へ真直まっすぐしたのを上下うえしたに動かしました。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)