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ましやうめん
石の
自由になる
所だけに、
比較的大きなのが
座敷の
眞正面に
据ゑてあつた。
其下には
涼しさうな
苔がいくらでも
生えた。
對岸(——
橋を
渡つて
俥は
湯の
原の
宿の
裏を
眞正面の
坂を
上る——)に
五層七層を
連ねた
中に、
一所、
棟と
棟との
高い
切目に、
樅か
欅か、
偉なる
古木の
青葉を
卷いて、
其の
梢から
兩方の
棟にかゝり
此時宗助と
並んで
嚴肅に
控えてゐた
男のうちで、
小倉の
袴を
着けた
一人が、
矢張無言の
儘立ち
上がつて、
室の
隅の
廊下口の
眞正面へ
來て
着座した。
と
鼻筋をしかめて、
園を
真正面に
見て
耳に
当てた。