真向ひたむ)” の例文
旧字:眞向
綽空しゃっくうは、その朝——まだ暗いうちに岡崎の草庵を出て、白河のほとりを、いつもならば西へ下るのに、叡山えいざんのほうへ真向ひたむきに歩いていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
血にまみれた頭もぬぐわず、汗にまみれた顔も拭わず、性善坊と覚明は真向ひたむきにくるまをひき出した。この声、この力、天地に響けとばかりに。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の心は真向ひたむきだった、一心であった。一刻もはやく会わねばならない。会ってそして自分の誠意をもって兄の心を打たなければならない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)