“斜向”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すじむか22.7%
はすむか18.2%
はすか13.6%
すじむこ9.1%
すじむかい4.5%
すじむこう4.5%
すぢむか4.5%
すぢむかう4.5%
ななめむこ4.5%
はすかい4.5%
はすっかい4.5%
はすむこ4.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし旅宿やどはすぐ斜向すじむかいなので何の苦もない。開いている戸の間からはいって、寝臭い暗闇を撫でながら二階へ上がった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
廊下をへだてた斜向はすむかいの室のドアもまだしまったままで、廊下のはじにニッケルのサモワールが出してあった。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
私とは少し斜向はすかひになつて居るので、眼を開けると水々しい結ひ立ての銀杏返いてふがへしに赤い手柄をかけたのが二つ相寄つて枕の上に並んだのが灯のなかに見えて居る。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
蕎麦のできて来る間、西陽の窓に頬杖ついて、下の往来をながめていると、すぐ斜向すじむこうに
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの空地は丁度姉崎家の門の斜向すじむかいに当るのだから、そこを出入りした人物を目撃しているに違いない。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
手一ツの女世帯おんなじょたいに追われている身は空が青く晴れて日が窓に射込さしこみ、斜向すじむこうの「宮戸川みやとがわ」という鰻屋うなぎや門口かどぐちの柳が緑色の芽をふくのにやっと時候の変遷を知るばかり。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それは私に同年おないどしでした。そのねえさんが茂江しげえさんで、そのもう一つ上が幾江いくえさんでした。斜向すぢむかひの角の泉勇いづゆうと云ふ仕立屋の子は、おうたちやんと、名を云ひました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
手一てひとツの女世帯をんなじよたいに追はれてゐる身は空が青く晴れて日が窓に射込さしこみ、斜向すぢむかうの「宮戸川みやとがは」と鰻屋うなぎや門口かどぐちやなぎが緑色の芽をふくのにやつと時候じこう変遷へんせんを知るばかり。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
巡査の声に、一同の視線が木立の斜向ななめむこうの空に集まる。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
広場ひろっぱを抜けると大きな松の木と柳の木が川ぶちにある、その間から斜向はすかいに向うに見えらあ、可いかい。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
骨組のたくましい、この女の足袋は、だふついて汚れていた……赤ら顔の片目めっかちで、その眇の方をト上へ向けてしぶのついた薄毛の円髷まるまげ斜向はすっかいに、あご引曲ひんまげるようにして
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なぎさの、斜向はすむこうへ——おおきな赤い蛇があらわれた。蘆かやを引伏せて、鎌首を挙げたのは、真赤まっかなヘルメット帽である。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)