斜向はすむか)” の例文
廊下をへだてた斜向はすむかいの室のドアもまだしまったままで、廊下のはじにニッケルのサモワールが出してあった。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
魚戸の部屋は、その斜向はすむかい側の十七号であった。その隣室の十八号が、宣伝長イレネ女史の寝室だった。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
葉子は庸三にささやいたが、ちょうど葉子の後ろにある衝立の斜向はすむかいのところに、彼らは席を取った。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
だが、それは、ほんの僅かな間で、同じような綺麗な娘が、斜向はすむかいの薬屋にいるのに、それに対しては、何んの感情も動かなかったのだから、ほんの子供心の恋情にすぎなかったのであろう。
死までを語る (新字新仮名) / 直木三十五(著)